省力化投資補助金(一般型)の第9回公募が2026年11月4日に始まりました。「第8回と同じ準備でよいのか」を確かめるため、第8回と第9回の公募要領を全文で見比べました。
補助上限額や補助率、基本要件の数字は変わっていません。一方で、事業を行える期間が3か月短くなるなど、計画の立て方に響く変更が入っています。この記事では、変わった点と変わっていない点を整理します。
・第9回の日程(第8回との比較)と、第8回に申請した方への注意
・第8回から変わった5つの点と、計画への影響
・変わっていない点
・申請の前に確かめたいこと
第9回の日程
| 項目 | 第8回 | 第9回 |
|---|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月18日(火) | 2026年11月4日(水) |
| 申請受付開始 | 2026年9月18日(金) | 2026年12月上旬(予定) |
| 公募締切 | 2026年10月16日(金)17:00 | 2026年12月下旬(予定) |
| 採択発表 | 2027年2月上旬(予定) | 2027年3月下旬(調整中) |
※ 公式サイトのスケジュールのページによります(2026年11月6日時点)。公募要領には、申請受付の時期は本事業のホームページで公開すると書かれています(第9回 p.25)。「予定」の日付は変わることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。
公募要領は、本事業へ応募申請・交付申請中の事業者を補助対象外としています(第9回 p.17)。第8回の採択発表は2027年2月上旬(予定)で、第9回の締切(2026年12月下旬の予定)より後です。これは当社の読み方なので、当てはまる方は事務局へご確認ください。この記事は、第8回に申請しなかった方や、第9回で初めて申請する方に向けて書いています。
第8回から変わった点の早見表
| 変わった点 | 第8回 | 第9回 |
|---|---|---|
| ① 事業実施期間 | 交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内) | 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内) |
| ② 加点を満たす時点 | 「応募締切日時点」「応募申請締切日までに」と書かれた項目や、時点の書かれていない項目がある | 8つの項目が「応募申請時点」 |
| ③ 最低賃金の判定期間 | 2024年10月〜2025年9月 | 2025年10月〜2026年9月 |
| ④ 従業員に関する書き方 | 応募時点で従業員0名の事業者などは対象外 | 応募申請時の直近決算年度から事業計画期間の終了までで判定する、などの書き方に |
| ⑤ 補助対象外の経費 | 不動産の取得費用など | 建物と一体不可分の建物附属設備の取得・設置費用も対象外と明記 |
変更① 事業実施期間が3か月短くなった
いちばん影響が大きい変更です。第9回の事業実施期間は、交付決定日から14か月以内、かつ採択発表日から16か月以内です(第9回 p.8・p.25)。ここ3回の公募要領を並べると、次のとおりです。
| 公募回 | 交付決定日から | 採択発表日から |
|---|---|---|
| 第7回 | 18か月以内 | 20か月以内 |
| 第8回 | 17か月以内 | 19か月以内 |
| 第9回 | 14か月以内 | 16か月以内 |
短くなった理由は、公募要領には書かれていません。
この期間の中で、契約(発注)・納品・検収・支払いのすべてを終え、実績報告書まで提出する必要があります(第9回 p.25)。交付決定の前に発生した経費は、どんな理由があっても対象になりません(第9回 p.21)。
採択発表が2027年3月下旬なら、第9回の期限は、最も遅い場合でおおむね2028年7月下旬です。第8回は、2027年2月上旬の発表から19か月で、最も遅い場合はおおむね2028年9月上旬です。あとから始まる第9回のほうが、期限は1か月以上早くなります(当社の計算です。採択発表日はどちらも予定や調整中のため、前後します)。
計画への影響(当社の見方)
- 納期の長い設備は、見積りの段階で確かめる:発注から納品・検収までにかかる期間をメーカーや販売店に確かめ、期間内に収まるかを見ておきます。
- 交付決定が遅れると、使える期間が減る:交付申請の期限は、原則として採択発表日から2か月後です(第9回 p.25)。採択発表日から16か月という上限は動かないので、採択発表から2か月を超えて交付決定が遅れると、使える期間はその分だけ14か月より短くなります。採択から交付決定までの期間は、別の補助金の実例も参考になります。
- 最後の実績報告の時間も見込む:実績報告は、補助事業が完了した日から30日を経過した日か、事業完了期限日の、いずれか早い日までに出します(第9回 p.38)。支払いまで終えた後に報告書をまとめる時間が要るので、設備が動き始める時期だけで計画を立てないようにします。
- 第8回に向けて作った計画を使うときは、スケジュールを作り直す:17か月を前提にした工程は、そのままでは収まらないことがあります。
変更② 加点は「応募申請時点」で満たしておく
第9回では、加点の多くに「応募申請時点において」という言葉が入りました(第9回 p.31〜32)。
| 加点の項目 | 第8回の書き方 | 第9回の書き方 |
|---|---|---|
| 成長加速マッチングサービス | 応募締切日時点で登録している | 応募申請時点で登録している |
| 省力化ナビ | 応募申請締切日までに活用している | 応募申請時点で活用している |
| 事業承継・M&A/事業継続力強化計画/えるぼし/くるみん/健康経営優良法人 | 「応募申請時点」という言葉はなし | 応募申請時点で満たしている |
| 生産性向上支援センター | 計画書の作成が完了しており、応募申請時に提出 | 応募申請時点で作成が完了しており、応募申請時に提出 |
特に、成長加速マッチングサービスと省力化ナビは、第8回では「締切日まで」と読める書き方でした。第9回では、申請を出した後、締切までの間に登録しても足りないと読めます(当社の読み方です)。事業継続力強化計画の受付番号の入力や、生産性向上支援センターの計画書の提出は、第8回でも応募申請時でした(第8回 p.32・p.33)。加点の登録や認定を済ませてから申請を出す順番にしておくと安全です。
- 省力化ナビ:活用するときに入力するGビズIDプライムと、申請に使うGビズIDプライムが一致している必要があります(第9回 p.32)。
- 生産性向上支援センター:支援を受けて「生産性向上取組計画書」の作成を終え、応募申請時に提出します(第9回 p.32)。計画書の作成には時間がかかるので、早めに相談を始めます。
変更③ 最低賃金の判定期間が1年新しくなった
地域別最低賃金の引上げに関する特例(補助率が2/3になる特例)と加点は、判定に使う期間が1年後ろにずれました(第9回 p.12・p.31)。
| 第8回 | 第9回 | |
|---|---|---|
| 見る期間 | 2024年10月〜2025年9月 | 2025年10月〜2026年9月 |
| 従業員の条件 | 「当該期間における地域別最低賃金以上〜2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が、全従業員の30%以上である月が3か月以上 | 「当該期間における地域別最低賃金以上〜2026年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が、全従業員の30%以上である月が3か月以上 |
第8回で計算した結果は、そのまま使えません。要件確認書の指定様式も、第9回用が公式サイトで公開されています。なお、事業場内最低賃金の引上げに関する加点の基準(2026年6月と応募申請の直近月を比べて55円以上)は、第8回と同じです。
変更④ 従業員に関する書き方が変わった
次の3か所で、従業員の扱いの書き方が変わりました。
対象となる従業員が0名の場合
第8回では、「応募申請時に従業員数が0名」の場合と、「基準年度及び算出対象となる各事業年度に、対象となる従業員が0名」の場合に分けて、応募できないと書かれていました(第8回 p.11)。第9回では1つにまとまり、応募申請時の直近決算年度から事業計画期間の終了までの期間に、1人当たり給与支給総額の算出対象となる従業員が0名となる場合は、応募できないと書かれています(第9回 p.10・p.18)。算出対象となるのは、その事業年度に全月分の給与等を受けた従業員です(第9回 p.10)。中途採用で全月分を受けていない年度は、対象から外れます。創業間もない会社や、従業員が入れ替わった会社は、直近の決算年度から計画の終了までの各年度に対象者がいるかを確かめておきます。
足下の賃上げの計算
書面審査で見られる「足下の賃上げ」について、算定の対象となる従業員や給与等は、基本要件の1人当たり給与支給総額と同じだと書き足されました(第9回 p.29)。足下の賃上げの評価そのものは、第8回と同じです。
実施場所に所属する従業員がいない場合
事業場内最低賃金について、補助事業の実施場所に所属する従業員がいない場合は、その場所で業務に従事する従業員の所属事業所を実施場所とみなし、その事業所の最低賃金を報告する、という説明が加わりました(第9回 p.10)。これは最低賃金の確認に限った扱いです。
変更⑤ 建物と一体不可分の建物附属設備が対象外と明記された
補助対象外の経費に、「建物と一体不可分となる建物附属設備の取得・設置費用」が書き足されました(第9回 p.22)。第8回では、不動産(土地・建物・構築物)の取得費用と、それを作るための組み立て用部材の取得費用までが書かれていました。
建物に組み込む空調や電気の設備などを、省力化の設備と一緒に計上しようと考えている場合は注意が必要です(例は当社の読み方です)。設置場所の整備工事や基礎工事が対象外であることは、第8回と同じです(第9回 p.22)。判断に迷う場合は、見積りを固める前に事務局へ確かめることをおすすめします。
第8回の途中で直された点も入っています
第8回の公募要領は、2026年9月18日に改訂されています(第8回 p.2)。第8回の最初の版で準備していた方は、次の点も確かめてください。第9回は、改訂後の内容です。
- 基準年度の1人当たり給与支給総額を、指定様式の確認書で算出するという記載がなくなった
- 過去の補助金の支払いが終わっていない事業者を対象外とする決まりで、事業再構築補助金の一部の枠(卒業促進枠など)が除かれた(第9回 p.18)
- 足下の賃上げの言葉が「年平均上昇率」から「年平均成長率」になった(第9回 p.29)
変わっていないこと
| 項目 | 第8回・第9回 共通 |
|---|---|
| 補助上限額 | 従業員数により750万円〜8,000万円(大幅賃上げの特例で1,000万円〜1億円)(第9回 p.8) |
| 補助率 | 中小企業1/2(最低賃金引上げの特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者2/3(第9回 p.8) |
| 基本要件 | 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上、1人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が最低賃金+30円以上など(第9回 p.9〜11) |
| 基準年度 | 補助事業が完了した日を含む事業年度の決算期(第9回 p.6) |
| 足下の賃上げ | 物価上昇率を上回る程度の賃上げが見込まれない計画は審査で大幅に不利(第9回 p.29) |
基準年度の定義と足下の賃上げは、第8回で入った大きな変更です。くわしくは第6回の採択結果と第8回の変更点のコラムをご覧ください。なお、カタログ注文型は、公式サイトで随時公募とされており、一般型の第9回の日程とは別です。
申請の前に確かめたいこと
- 発注から実績報告までが、交付決定から14か月・採択発表から16か月に収まるか
- 設備の納期を、メーカーや販売店に確かめたか
- 加点の登録や認定を、申請を出す前に済ませたか
- 省力化ナビで、申請と同じGビズIDプライムを使ったか
- 地域別最低賃金の判定を、2025年10月〜2026年9月で計算し直したか
- 直近の決算年度から計画の終了まで、全月分の給与を受ける従業員がいない年度がないか
- 見積りに、建物と一体不可分の建物附属設備や基礎工事などの対象外の経費が混ざっていないか
- 事業計画書(その3)は、第9回用の様式を使うか(2026年11月6日時点では、公式サイトで準備中です)
・GビズID:2026年11月24日(火)20:00〜11月25日(水)1:00頃
・申請マイページ:2026年11月30日(月)10:00〜18:00頃
第9回に向けたご相談
第8回に出せなかった計画を第9回に合わせて見直したい方や、第9回で初めて申請する方は、お気軽にご相談ください。当社は補助金に特化した中小企業診断士事務所として、省力化投資補助金の申請支援を行っています。事業計画は申請者自身が作るものです。当社は、計画の考え方や書き方を助言します。
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※ 本記事は、中小企業省力化投資補助事業(一般型)の公募要領(第7回・第8回・第9回)と、公式サイトのスケジュール・お知らせ・資料ダウンロードのページ(2026年11月6日時点)をもとに書いています。申請の前に、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。