第6回の採択結果が公表されました(2026年8月28日)
2026年8月28日、中小企業省力化投資補助金(一般型)の第6回公募の採択結果が公表されました。申請1,841件に対して採択1,176件、採択率は約63.9%です。
前回の第5回(約61.5%)から約2.4ポイント上昇しました。ただし、第4回の約69.3%と比べると約5.4ポイント低い水準です。「持ち直したが、元には戻っていない」というのが正確な位置づけになります。
そして、この結果が出たのとほぼ同じタイミングで、第8回の公募が2026年8月18日(火)に始まりました。この記事では、第6回の数字を「今回の採択率」としてではなく、次に申請する第8回をどう戦うかの材料として読み解きます。第8回では計画の作り方そのものに関わる変更が入っているため、後半でその中身も詳しく解説します。
・第6回公募の採択結果(申請数・採択数・採択率)の概要
・第1回〜第6回の採択率の推移と、申請が3回連続で減っているという事実
・採択された1,176者の業種・従業員規模・申請額の分布と、第5回からの変化
・公式が採択事例に付けた「3つのラベル」が意味すること
・第8回で変わった5つのポイントと、締切から逆算した準備スケジュール
第6回 採択結果の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年8月28日(金) |
| 申請件数 | 1,841件 |
| 採択件数 | 1,176件 |
| 採択率 | 約63.9% |
| 差し引き(不採択) | 665件 |
※中小機構が公表しているのは「申請数」と「採択数」のみです。採択率は当社がこの2つの数字から算出した値で、公式が採択率そのものを公表しているわけではありません。「差し引き(不採択)665件」も1,841−1,176の計算値です。
まず押さえておきたいのは、この補助金は他の主要補助金と比べて採択率が高いということです。同じ時期に結果が出たものづくり補助金 第23次は約35.1%、中小企業成長加速化補助金 第2次は約25.7%でした。省力化投資補助金(一般型)は3社に2社近くが通る制度です。
ただし「6割通るなら適当でも大丈夫」という話ではありません。665件、つまり3社に1社強は落ちているのも事実です。次の章から、通った側がどんな会社だったのかを見ていきます。
採択率の推移:第1回〜第6回
| 公募回 | 申請数 | 採択数 | 採択率 | 採択発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809件 | 1,240件 | 約68.5% | 2025/6/16 |
| 第2回 | 1,160件 | 707件 | 約60.9% | 2025/8/8 |
| 第3回 | 2,775件 | 1,854件 | 約66.8% | 2025/11/28 |
| 第4回 | 2,100件 | 1,456件 | 約69.3% | 2026/3/6 |
| 第5回 | 2,035件 | 1,251件 | 約61.5% | 2026/6/5 |
| 第6回 | 1,841件 | 1,176件 | 約63.9% | 2026/8/28 |
※採択率はいずれも公表された申請数・採択数から当社が算出した値です。
6回を通算すると、申請11,720件に対して採択7,684件、通算の採択率は約65.6%です。第6回の63.9%は、この通算値をやや下回るものの、6回を通じて約61%〜約69%という一定のレンジの中に収まっています。第2回の約60.9%から第4回の約69.3%まで8ポイント以上動いていますが、大きく崩れた回はありません。
第5回の結果が出たときは「69.3%から61.5%へ7.8ポイント下落」という数字だけが独り歩きしましたが、今回持ち直したことで、この補助金の実力値は6割台半ばあたりと見るのが妥当だと分かります。第5回の分析は省力化投資補助金(一般型)第5回 採択結果を徹底分析で詳しく書いています。
【分析1】申請は3回連続で減っている。採択率が上がったのはそのためです
ここが今回いちばん大事な論点です。採択率が上がったと聞くと「通りやすくなった」と受け取りたくなりますが、中身を分解すると、そう単純ではありません。
| 公募回 | 申請数 | 前回比 | 採択数 | 前回比 |
|---|---|---|---|---|
| 第3回 | 2,775件 | — | 1,854件 | — |
| 第4回 | 2,100件 | −675件 | 1,456件 | −398件 |
| 第5回 | 2,035件 | −65件 | 1,251件 | −205件 |
| 第6回 | 1,841件 | −194件 | 1,176件 | −75件 |
申請数は2,775件 → 2,100件 → 2,035件 → 1,841件と3回連続で減っています。第3回のピークからは約34%減です。
第5回から第6回にかけては、申請が194件(約9.5%)減ったのに対し、採択は75件(約6.0%)しか減りませんでした。分母の減り方が分子より大きかった——採択率が2.4ポイント上がった理由は、つまるところこれだけです。審査が甘くなったわけでも、事務局が採択枠を広げたわけでもありません。
採択数も1,854件 → 1,456件 → 1,251件 → 1,176件と3回連続で減っています。応募者(分母)が減っていると同時に、用意されている椅子(分子)も一緒に減っているということです。
第3回と第6回を比べると、申請は約34%減、採択は約37%減。採択のほうがむしろ減り幅が大きいくらいです。「今回は申請が少ないから通りやすい」という読み方は、この補助金では成り立ちません。
【分析2】採択者はどんな会社だったか(業種)
製造業が51.4%。製造業+建設業で3社に2社
公式が公表した業種別の採択件数割合(N=1,176)を見ると、構図は非常にはっきりしています。
| 業種 | 採択件数割合 |
|---|---|
| 製造業 | 51.4% |
| 建設業 | 14.6% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 4.2% |
| 小売業 | 4.0% |
| 卸売業 | 3.9% |
| その他サービス業(自動車整備業、ビルメンテナンス業) | 3.7% |
| 医療、福祉 | 3.6% |
| 農業、林業 | 2.8% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 2.5% |
| 情報通信業 | 2.0% |
| 生活関連サービス業(理容業、美容業、クリーニング業、冠婚葬祭業等) | 1.6% |
| 飲食サービス業 | 1.4% |
| 運輸業、郵便業 | 1.2% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 0.9% |
| 生活関連サービス業(その他) | 0.9% |
| 宿泊業 | 0.4% |
| 教育、学習支援業 | 0.4% |
製造業と建設業だけで66.0%——3社に2社です。3位以下は4%台に急落し、そこから先はほぼ横並びになります。裾野は20業種以上に広がっているものの、中心は明確に製造・建設という制度です。
第5回からいちばん動いたのは建設業と医療・福祉
第5回(N=1,251)と比べると、動きがあった業種が見えてきます。
| 業種 | 第5回 | 第6回 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 49.7% | 51.4% | +1.7pt |
| 建設業 | 17.7% | 14.6% | −3.1pt |
| 医療、福祉 | 1.4% | 3.6% | +2.2pt |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 6.1% | 4.2% | −1.9pt |
| 小売業 | 2.7% | 4.0% | +1.3pt |
| 卸売業 | 4.2% | 3.9% | −0.3pt |
| 農業、林業 | 3.7% | 2.8% | −0.9pt |
| 宿泊業 | 0.2% | 0.4% | +0.2pt |
第4回も見ておくと、製造業50.1%・建設業15.9%でした。つまり製造業は3回とも約50%で安定している一方、建設業だけが15.9% → 17.7% → 14.6%と振れています。
目を引くのは医療・福祉の1.4% → 3.6%で、構成比が2倍以上になりました。小売業も2.7% → 4.0%と伸びています。人手不足が深刻な業界で、省力化投資という発想が広がってきた——そう読むこともできますが、1回分の変動だけで傾向とは言い切れません。第7回・第8回の結果と合わせて見ていく必要があります。
いずれにせよ、「省力化投資補助金は製造業のもの」というイメージは、実態としては正確ではありません。業種ごとにどんな設備が対象になるかは省力化投資補助金で人手不足を解消!業種別おすすめ設備と申請事例でまとめています。
【分析3】従業員20人以下の比率が下がりました
採択者を従業員数で見ると、最も多いのは6〜10人の17.7%です。
| 従業員数 | 第5回 | 第6回 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 14.1% | 12.8% |
| 6〜10人 | 18.8% | 17.7% |
| 11〜15人 | 11.1% | 10.2% |
| 16〜20人 | 8.5% | 6.1% |
| 21〜30人 | 13.2% | 13.9% |
| 31〜40人 | 7.0% | 6.6% |
| 20人以下の合計 | 52.5% | 46.8% |
※上表は第5回・第6回の双方を掲載している区分のみを抜き出したものです。第6回についてはこのほか、41〜50人が4.7%、51〜60人が4.5%、101〜200人が8.5%などとなっており、50人以下の合計は72.0%です。
注目したいのは20人以下の合計が52.5%から46.8%へ、5.7ポイント下がった点です。第5回は採択者の過半数が20人以下でしたが、第6回は半数を割りました。
とはいえ、採択者の半数近くが従業員20人以下、7割強が50人以下であることに変わりはありません。「小さい会社では使えない補助金」ではまったくありません。資本金で見ても1,000万〜2,000万円未満が32.7%と最多、100万〜500万円未満が18.6%、個人事業主も4.9%います。
ただ、「規模が小さいから審査で手心が加わる」ということはない——第5回ほど小規模層に寄らなかったこの結果は、そう読んでおくのが安全です。従業員5人の会社でも、計画書の中身は同じ土俵で評価されます。
【分析4】申請額のボリュームゾーンは1,500万円台
採択された1,176者が、いくらの補助金を申請していたのか。分布はこうなっています。
| 補助金申請額 | 割合 |
|---|---|
| 250万円未満 | 1.5% |
| 250〜500万円未満 | 5.4% |
| 500〜750万円未満 | 9.0% |
| 750〜1,000万円未満 | 12.6% |
| 1,000〜1,250万円未満 | 9.0% |
| 1,250〜1,500万円未満 | 8.1% |
| 1,500〜1,750万円未満 | 17.8%(最多) |
| 1,750〜2,000万円未満 | 3.9% |
| 2,000〜3,000万円未満 | 11.8% |
| 3,000〜4,000万円未満 | 9.6% |
| 4,000〜5,000万円未満 | 2.5% |
| 5,000〜6,000万円未満 | 3.7% |
| 8,000〜9,000万円未満 | 2.8% |
1,000万円未満が28.5%、1,000〜2,000万円未満が38.8%。合わせると約67%が2,000万円未満です。一方で3,000〜4,000万円が9.6%、8,000〜9,000万円も2.8%あり、上位帯にも一定数が分布しています。
第8回の補助上限額は従業員6〜20人で1,500万円(特例適用時2,000万円)です。そして第6回の採択者は6〜10人が17.7%、11〜15人が10.2%、16〜20人が6.1%で、合計すると約34%がこの区分に入ります。
申請額の最頻帯が1,500〜1,750万円未満(17.8%)であることと、この規模構成は重なって見えます。上限額に近い金額での申請が最頻帯を形づくっている可能性があります。
※これは公表データを突き合わせた当社の推測であり、公式が示した分析ではありません。
実務的な示唆としては、「上限まで申請したから落ちる」わけではないということです。上限に近い金額でも、投資の必要性と省力化効果が説明できていれば採択されています。逆に、金額を小さくすれば通りやすくなるという傾向も、このデータからは読み取れません。
【分析5】公式が採択事例に付けた「3つのラベル」が、いちばんのヒントです
ここが本記事で最もお伝えしたい部分です。
中小機構が公表した第6回の採択結果資料には、実際に採択された事業計画の概要が8件紹介されています。そして、それぞれの事例には「どういう点が評価されたか」を示すラベルが付いています。
興味深いのは、そのラベルが3種類しかないということです。
① オーダーメイド性の高い設備を導入することで、高い省力化効果が見込まれる事例
② 一連の業務プロセスを自動化・効率化することで、高い省力化効果が見込まれる事例
③ 複数の汎用設備を組み合わせて導入することで、高い省力化効果が見込まれる事例
この3つは、裏を返せば「カタログ注文型では実現できない投資」の説明そのものです。
省力化投資補助金には、あらかじめ登録された製品カタログから選ぶカタログ注文型と、カタログにない設備・システムにも対応できる一般型があります。一般型は補助上限が大きい代わりに事業計画の策定が必要で、審査項目も多くなります。
ではその審査で何を見られるのか——公式が付けたラベルが、まさにその答えです。「カタログから選べば済む買い物ではない」ことを、この3類型のどれかで説明できるか。ここが一般型で通す計画の出発点になります。詳しくは省力化投資補助金「カタログ型」と「一般型」の違いもあわせてご覧ください。
ラベル①オーダーメイド性の高い設備:製造業の例
航空・半導体部品の加工を営む製造事業者が、パレットチェンジャー付き横形マシニングセンタ(オーダーメイド)を導入した事例です。
- 6枚のオートパレットチェンジャーを備え、機内パレットと合わせて最大7パレットの連続加工が可能
- 段取り作業を機械稼働中に実施できるため、6〜7時間の夜間無人運転を実現
- 専用治具の固定により、熟練者に依存していた加工精度を再現可能にし、不良品を低減
「既製品ではうちの工程に合わない」という状況を、設備の仕様レベルで説明できているのがポイントです。
ラベル②一連の業務プロセスを自動化・効率化:建設業の例
空調設備工事を営む事業者が、ファイバーレーザー切断機とAIネスティングソフトを導入した事例です。
- 年間約1,585時間の省力化を実現
- 切断後の汚れやバリがほとんど発生しないため、後処理作業が丸ごと不要に
- AI自動配置による最適ネスティングで、鋼材の有効利用率が約10%改善
- 属人化していたネスティング作業から解放された時間を、品質管理・後進育成・工程管理に充当
設備を1台入れて終わりではなく、「ソフトで最適化 → 機械で切る → 後処理が消える」という一連の流れで効果を出しているのが評価点です。
ラベル③複数の汎用設備を組み合わせ:飲食サービス業の例
製麺を行う飲食サービス業の事業者が、大型製麺ライン一式・石臼機・ふるい機・真空包装機・冷却機を組み合わせて導入した事例です。
- 生産能力が週2,000玉から6,000玉へ拡大
- 製麺作業時間が1日600分から150分へ削減
- 常時3名体制から1名の監視体制へ移行
- 創出した人員を営業・新店舗支援・新商品開発へ再配置
1台1台は汎用設備でも、組み合わせることで工程全体が変わることを数字で示しています。
ラベルなしの事例も、すべて「時間」か「人数」で語られている
他の5事例も見てみましょう。
- 卸売業(身の回り品卸):高効率・高容量デバンニングロボットで、荷下ろし作業員を5名から2名へ。夏場は40℃を超えるコンテナ内作業の熱中症リスクも低減
- 運輸・郵便業(倉庫):自動封緘機・画像検品システム・出荷梱包用WCSで、出荷工程の作業人員を9〜12名から1〜3名へ
- 宿泊業(ホテル):PMS(宿泊施設管理システム)とセルフチェックイン端末を連携し、13ホテルの情報をリアルタイムで一元化
- 生活関連サービス業(洗濯業):自動投入機・カレンダーロール・両面検査付フォルダーで、リネン処理を投入から検査・折り畳み・仕分けまで一貫自動化
- サービス業(廃棄物処理):AI監視制御装置と自動破袋機で、選別ライン全体の作業時間を削減
例外なく、省力化の効果が「時間」か「人数」で言い切られています。
・年間約1,585時間の削減/1日600分→150分
・作業員5名→2名/9〜12名→1〜3名/常時3名→1名監視
「効率が上がる」「生産性が向上する」といった曖昧な表現の事例は1件もありません。そして、削減した人員をどこに再配置するのかまで、ほぼすべての事例が書いています。
自社の計画書がこの水準で書けているか——それが最初の関門です。計画書で「人手不足」をどう数字で示すかもあわせてご覧ください。
都道府県別に見ると、製造業の集積地に偏っています
| 都道府県 | 採択件数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 大阪府 | 131件 | 11.1% |
| 東京都 | 120件 | 10.2% |
| 愛知県 | 102件 | 8.7% |
| 静岡県 | 56件 | 4.8% |
| 兵庫県 | 55件 | 4.7% |
| 神奈川県 | 51件 | 4.3% |
| 広島県 | 43件 | 3.7% |
| 茨城県 | 41件 | 3.5% |
| 岐阜県 | 35件 | 3.0% |
| 埼玉県 | 33件 | 2.8% |
| 全国合計 | 1,176件(100.0%) | |
採択者の51.4%が製造業という制度だけあって、上位は製造業の集積地が並びます。大阪・東京・愛知の3都府県だけで全体の約30%を占めています。
当社の地元である静岡県は56件(全体の4.8%)で、上位県のひとつに入っています。輸送用機器や食品加工など製造業の厚い県であることが、そのまま表れた形です。当社は静岡県浜松市に拠点を置いていますが、支援は全国オンライン完結ですので、地元の方も遠方の方も同じ体制でご相談いただけます。
第8回で変わった5つのポイント
ここからが、これから申請する方にとって本題です。
第8回は2026年8月18日(火)に公募が始まりました。公募要領を第7回のものと1項目ずつ突き合わせたところ、計画の作り方そのものに関わる変更が入っていました。第7回までの感覚で準備すると、審査で不利になる可能性があります。
1. 「基準年度」の定義が変わりました(影響がいちばん大きい)
| 基準年度の定義 | |
|---|---|
| 第7回まで | 応募申請時の直近の決算期 |
| 第8回から | 補助事業が完了した日を含む事業年度の決算期 |
専門用語をかみ砕くと、目標の達成度を測るスタート地点が、「申請したとき」から「設備を入れ終わった年度」に移ったということです。
この補助金には、労働生産性を年平均4.0%以上向上させる、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増やす、という目標があります。第8回からは、その比較の起点が後ろにずれます。付加価値額の増加要件も「基準年度と比較して」に変更されました。
第7回までに作った計画書をそのまま流用すると、数字の土台がずれます。計算のやり直しが必要です。
2. 「足下の賃上げ」が審査項目に追加されました
第8回の公募要領(書面審査の項目)に、次の一文が新しく加わりました。
「補助事業完了後における基準年度から最終年度の賃上げ率に加えて、設備の導入といった補助事業の完了を待たずして実施する『足下の賃上げ』を評価します。最低でも、応募申請時の直近決算期から基準年度までの『従業員の1人当たり給与支給総額』の年平均上昇率が物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない計画の場合は審査上大幅に不利になりますのでご留意ください。なお、『足下の賃上げ』については、採択後交付決定までの間に従業員への表明を必須とします。また、補助事業期間中の賃上げ実績はモニタリングの対象となります。」
ポイントは3つです。
- 設備を入れ終わってからの賃上げだけでなく、それ以前の賃上げも見られるようになりました。申請時の直近決算期から基準年度(=補助事業完了年度)までの期間が対象です
- その上昇率が物価上昇率を上回らない計画は「審査上大幅に不利」と明記されています。努力目標ではありません
- 採択されたあと、交付決定までの間に従業員へ賃上げを表明することが必須です。補助事業期間中の実績もモニタリングされます
1.の基準年度の変更と組み合わせると、「申請から設備導入完了までの間も、賃上げを止められない」という設計になっています。ここは経営判断が必要な部分なので、計画書を書き始める前に社内で方針を固めておくことをおすすめします。
3. 事業実施期間が1か月短くなりました
| 事業実施期間 | |
|---|---|
| 第7回 | 交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内) |
| 第8回 | 交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月以内) |
1か月の短縮ですが、納期の長い設備を導入する計画ほど効いてきます。オーダーメイド設備は納品まで半年以上かかることも珍しくありません。申請前の段階で、業者と発注・製作・据付のスケジュールを詰めておいてください。
4. 口頭審査の連絡がつかないと不採択になり得ます
第8回では、口頭審査について次の記載が追加されました。
「口頭審査の対象となる事業者にご連絡を行ったものの、ご連絡がつかない等の理由で口頭審査日時の調整がつかなかった場合は、申請を辞退したものとみなし、不採択となる場合があります」
申請書に記載する連絡先が、実際に日中つながる番号・メールアドレスになっているかを必ず確認してください。担当者が長期出張や休職に入る予定があるなら、連絡が取れる体制を先に整えておく必要があります。
5. 最低賃金引上げ加点の基準日が更新されました
| 比較の起点 | 必要な引上げ額 | |
|---|---|---|
| 第7回 | 2025年7月と応募申請直近月 | 全国目安額 63円以上 |
| 第8回 | 2026年6月と応募申請直近月 | 全国目安額 55円以上 |
前回の資料を見ながら準備していると基準日を間違えます。加点を狙う場合は、2026年6月時点の事業場内最低賃金を確認するところから始めてください。
そのほかの変更点
- 補助対象外となる事業者に「過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けた事業者」が追加されました
- 他の補助金との併給調整の対象に「中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金)」が加わりました
- 10か月ルールが明確化されました。「交付決定を受け、応募申請時点で10か月を経過していない事業者」は申請できません
- 提出書類が変わりました(全従業員分の賃金台帳が不要に/医療系は診療所開設許可書・診療所開設届の提出に変更)
- 「補助金交付候補者として採択された後であっても、該当することが判明した時点で補助対象外となる場合があります」と明記されました
- 令和8年熊本地震で被災した熊本県内の事業者については、第8回の審査で配慮がある旨が公式サイトに案内されています
第8回の基本情報(補助上限額・補助率は第7回から変更なし)
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始日 | 2026年8月18日(火)※公募要領は公開済み |
| 申請受付開始日 | 2026年9月中旬(予定) |
| 公募締切日 | 2026年10月中旬(予定) |
| 採択発表日 | 2027年2月上旬(予定) |
補助上限額と補助率は、第7回から変更されていません。
| 従業員数 | 補助上限額 | 特例適用時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
- 補助率:中小企業 1/2(特例適用時 2/3)/小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 2/3
- 対象経費:機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費
- 申請できない方:本事業へ応募申請中・交付申請中の事業者、および交付決定を受けて補助金の支払が完了していない事業者
制度の全体像は省力化投資補助金とは?対象者・補助額・申請方法をわかりやすく解説にまとめています。
第8回に向けた逆算スケジュール
締切が2026年10月中旬(予定)だとすると、残り時間は多くありません。逆算するとこうなります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年8月中〜9月上旬 | 省力化テーマの確定。削減できる作業時間・人数の棚卸し。設備の目星付け。基準年度の定義変更を踏まえた数値計画の作り直し |
| 2026年9月中旬(予定) | 申請受付開始。電子申請の入力を開始。相見積もりの取得を並行して進める。GビズIDプライムアカウントが未取得なら最優先で手続き |
| 2026年10月上旬 | 計画書の完成と第三者による読み込み。添付書類の最終確認。「足下の賃上げ」について社内の合意を固める |
| 2026年10月中旬(予定) | 公募締切。締切直前はシステムが混み合うため、前倒しの提出を強くおすすめします |
| 2027年2月上旬(予定) | 採択発表 |
「予定」と記載した日程は変更される場合があります。他の補助金と合わせた締切は補助金スケジュール一覧で確認できます。
第6回で不採択だった方へ
第6回では差し引き665件が不採択でした(1,841−1,176)。落ちた側も決して少数派ではありません。
次の申請先としては、次の2つがあります。
- 一般型 第8回:申請受付開始は2026年9月中旬(予定)、締切は10月中旬(予定)
- カタログ注文型:随時受付。カタログ掲載製品をそのまま導入する場合は、申請が迅速かつ簡易です
第8回は基準年度の定義が変わり、「足下の賃上げ」が審査項目に加わった回です。第6回に出した計画書の数値部分は、そのままでは使えません。
加えて、次の3点を再点検してください。
・省力化効果を「時間」か「人数」で言い切れているか(採択事例8件すべてがそうでした)
・削減した人員をどこに再配置するのかまで書けているか
・公式の3つのラベル(オーダーメイド/業務プロセスの自動化/複数の汎用設備の組み合わせ)のどれに当たる投資なのか、自分の言葉で説明できるか
不採択からの立て直しについては補助金が不採択だったら?理由の分析と再申請で採択される方法もご覧ください。
第7回に申請済みで結果待ちの方へ
第7回(2026年7月31日17:00締切)の採択発表は、2026年11月中旬(予定)です。
この期間にいちばん気をつけたいのは、交付決定前に発注・契約・支払をしてしまうことです。採択されても、交付決定より前に発注した経費は補助の対象になりません。詳しくは省力化投資補助金 第7回に申請したあとにやることで解説しています。
なお、第6回の63.9%という数字を第7回の予測として受け取るのは避けてください。採択率は回ごとに61%〜69%の幅で動いています。6回の通算は約65.6%ですが、これはあくまで過去の実績です。
2026年8月29日時点で、省力化投資補助金 第8回のほかに、中小企業成長加速化補助金 第3次(2026年10月29日15:00締切)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(2026年10月30日18:00締切)、小規模事業者持続化補助金 第20回(2026年12月15日17:00締切)が公募中です。
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まとめ
- 第6回の採択率は約63.9%(申請1,841件/採択1,176件・2026年8月28日公表)。第5回の61.5%から約2.4ポイント上昇、第4回の69.3%からは約5.4ポイント低い水準
- 申請は3回連続で減少(2,775→2,100→2,035→1,841)。ただし採択数も3回連続で減っており、「ライバルが減ったから狙い目」とは言えない
- 採択者は製造業51.4%+建設業14.6%で3分の2。第5回比では建設業が−3.1ポイント、医療・福祉が+2.2ポイント
- 従業員20人以下は46.8%(第5回の52.5%から−5.7ポイント)。申請額の最頻帯は1,500〜1,750万円未満の17.8%
- 公式が採択事例に付けたラベルは3種類だけ(オーダーメイド/業務プロセスの自動化/複数の汎用設備の組み合わせ)。8事例すべてが効果を「時間」か「人数」で言い切っている
- 次の申請は第8回(2026年8月18日公募開始・締切は10月中旬予定)。基準年度の定義変更と「足下の賃上げ」の審査項目化により、第7回までの計画の使い回しは通用しにくい
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※本記事の申請件数・採択件数および採択者の内訳(業種別・都道府県別・従業員数別・資本金別・申請額分布・採択事例)は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表した「一般型公募(第6回)採択結果について」(令和8年8月28日公表)および同機構の採択結果ページの公表値に基づいています。採択率は公表された申請件数・採択件数から当社が算出した値であり、公式に公表されたものではありません。都道府県の並び順も、公表された採択件数を当社が並べ替えたものです。第8回の公募日程・要件は、2026年8月29日時点で公開されている「中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)」に基づく情報で、「予定」と記載した日程は変更される場合があります。申請前には必ず公式サイト(中小機構)で最新情報をご確認ください。