申請受付が始まるのは9月30日。それまでの2か月が勝負です

2026年度、従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金という新しい制度が始まりました。第1回公募は2026年6月29日(月)に公募要領が公開され、すでにスタートしています。

ただし、実際に申請を受け付けてもらえるのは2026年9月30日(水)からです。そして応募締切は2026年10月30日(金)18:00(厳守)。つまり、申請ボタンを押せる期間はおよそ1か月しかありません。

この日程は途中で変わっています。2026年7月17日に事務局(独立行政法人 中小企業基盤整備機構=中小機構)からスケジュール変更が発表され、公募要領も1.1版に改訂されました。本記事はこの新しい日程を前提にしています。

本記事を公開した2026年7月30日から受付開始まで、残りおよそ2か月。この2か月は「申請できない期間」ではなく、時間のかかる準備を片づけるための期間です。実は、この補助金には「思い立ってから揃うまでに1〜2週間かかるもの」がいくつもあります。それを知らずに9月末を迎えると、書類が間に合わないという理由だけで応募を諦めることになりかねません。

この記事では、受付開始までに何を揃えておけばよいかを、公募要領(1.1版)と公式のよくある質問に書かれている内容だけをもとに整理します。

この記事で分かること
・第1回公募のスケジュール(受付開始・締切・採択発表)
・最優先で取るべき「GビズIDプライム」の注意点
・見落とすと詰む「一般事業主行動計画の公表」に2週間以上かかる話
・全員が必ず出す添付書類3点と、当てはまる人だけが出す書類
・金融機関による確認書・見積書はいつ必要になるのか
・事務局から後日公開される資料(操作マニュアルなど)と、その待ち方
・受付開始日から逆算した準備スケジュール
この記事は「準備編」です。電子申請システムの画面操作の手順は書いていません。
申請の画面は2026年9月30日の受付開始まで公開されないため、現時点で操作手順を説明することはできません。憶測で書くよりも、実際に公開されてから正確にお伝えするほうが役に立つと考えています。操作手順は受付開始後に本記事へ追記する予定です。

第1回公募のスケジュール

まずは全体の日程を確認しておきましょう。

日程 内容
2026年6月29日(月) 公募開始(公募要領の公開)
2026年9月30日(水) 申請受付開始
2026年10月30日(金)18:00 応募締切(厳守)
2027年1月頃(予定) 採択発表

締切は「18:00厳守」と明記されています。締切間際はアクセスが集中することも考えられますので、余裕をもって申請を終える計画を立ててください。

【最優先】GビズIDプライムを取得する

準備の中でいちばん最初に手をつけるべきなのが、GビズIDプライムの取得です。

GビズIDプライムとは

GビズIDとは、国のさまざまな行政手続きを、1つのIDとパスワードで利用できるようにする共通のログインアカウントのことです。補助金の申請だけでなく、他の行政サービスにも使えます。

このGビズIDにはいくつか種類があり、本補助金の申請に使えるのは「GビズIDプライム」だけです。公式のよくある質問でも、GビズIDプライムアカウントの取得は必須と案内されています。

「GビズIDメンバー」「GビズIDエントリー」ではログインできません。
すでにGビズIDをお持ちの方でも、種類が「メンバー」や「エントリー」の場合は、本補助金の電子申請システムにログインできません。手元のアカウントがどの種類かを、今のうちに確認しておいてください。

発行までおおよそ1週間。しかも「社長本人」しか作れません

GビズIDプライムの取得で気をつけたい点が2つあります。

つまり、社長ご本人が手を動かす必要があり、そこから1週間ほど待つことになります。「まだ事業計画が固まっていないから後で」と後回しにしがちですが、計画の中身とは関係なく進められる作業ですので、この記事を読んだ今日にでも着手することをおすすめします。

【要注意】一般事業主行動計画の公表は2週間以上かかります

GビズIDと並んで、いや、場合によってはそれ以上に注意が必要なのが「一般事業主行動計画」の公表です。ここでつまずいて申請できなくなる例が出やすいところですので、少し丁寧に説明します。

そもそも一般事業主行動計画とは

一般事業主行動計画とは、従業員が仕事と子育てを両立しやすい職場をつくるために、会社として何にどう取り組むかをまとめた計画書のことです。次世代育成支援対策推進法という法律の第12条にもとづくもので、作って終わりではなく、外部から見られる状態にする(公表する)必要があります。

本補助金では、この行動計画を策定し、「両立支援のひろば」という情報サイトに公表していることが、申請の基本要件の1つになっています。しかも応募締切日の時点で有効な計画である必要があります。

公表には1〜2週間、余裕は2週間以上みておく

公募要領には、この公表手続きについて次のように書かれています。

つまり、申し込めばすぐ載るものではなく、内容に不備があれば差し戻されて、さらに時間がかかります。締切直前に着手しても間に合いません。

また、策定・公表した計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届け出ることが求められています。あわせて確認しておきましょう。

ここが今いちばん急ぐべきポイントです。
GビズIDプライムに1週間、一般事業主行動計画の公表に2週間以上。この2つだけで3週間以上かかります。事業計画書づくりと並行して進めないと、9月30日の受付開始に間に合いません。

全員が必ず提出する添付書類は3点

公募要領(2-2-1)では、添付書類が「必須書類」と「条件に当てはまる場合のみの書類」に分かれています。まずは、申請するすべての方が提出する必須書類3点を確認しましょう。

書類 法人の場合 個人事業主の場合
① 決算書 直近3期分の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細等
※製造原価報告書・販売管理費明細は、従来から作成している場合のみ
【青色申告】直近3期分の青色申告決算書における損益計算書、損益計算書の内訳、貸借対照表(4ページすべて)
※簡易簿記の場合は直近3期分の損益計算書(1ページ目)と貸借対照表(4ページ目)
【白色申告】収支内訳書
② 従業員数を示す書類 労働基準法にもとづく労働者名簿の写し(申請時点のもの)
③ 収益事業を行っていることを説明する書類 直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え 直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え
※白色申告の場合は、確定申告書第一表および収支内訳書の控え

決算書は「1期分を1ファイル」にまとめる

決算書は、1期分を1つのファイルにまとめて提出する決まりです。3期分あれば3ファイルになります。なお、創業まもないなどの理由で3期分を提出できない場合は、今期までの決算書をすべて添付します。

③の「控え」には受付の証跡が必要です

見落としやすいのが、③の控えに求められる条件です。公募要領では、控えに電子申告の日時・受付番号の記載が必要とされています。

紙で申告した場合は、収受日付印(税務署が押す受付の印)の押印があるもの、または納税証明書(その2 所得金額用。事業所得金額の記載があるもの)の提出が必要になります。手元の控えにこれらが付いているかどうか、今のうちに確認しておいてください。納税証明書が必要になる場合は、税務署での取得に日数がかかることも見込んでおきましょう。

ファイル名は「ファイル名確認シート」のとおりに

添付書類は、決められたファイル名を付けて提出する必要があります。どのファイルにどんな名前を付けるかは、公募要領に掲載されている「ファイル名確認シート」で確認します。

条件に当てはまる方だけが提出する書類

次の書類は、全員が出すものではありません。当てはまる方だけが提出します。特に「加点を希望する場合のみ」とされているものは、出さなければ加点されないというだけで、出さなくても申請そのものはできます。

書類 提出が必要な方・内容
④ 金融機関による確認書 金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合のみ(所定様式)
⑤ リース料軽減計算書 リース会社と共同申請する場合のみ。所定の団体・組織の確認が必要
⑥ リース取引に係る宣誓書 リース会社と共同申請する場合のみ。リース会社が作成
⑦ 再生事業者であることを証明する書類 再生事業者加点を希望する場合のみ。中小企業活性化協議会等が発行
⑧ 地域別最低賃金引上げに係る要件を確認する書類 特例の適用または加点を希望する場合のみ。所定様式+該当する3か月分の賃金台帳の写し
⑨ 事業場内最低賃金引上げに係る要件を確認する書類 加点を希望する場合のみ。所定様式+2025年7月と応募申請直近月の、対象従業員および全従業員の賃金台帳の写し
⑩ 経営革新計画承認書の写し 経営革新計画加点を希望する場合のみ。承認書に計画期間の記載がない場合は経営革新計画書の写しも必要(計画期間が確認できないと加点されません)
⑪ 研究開発費・試験研究費の計上を確認する書類 加点を希望する場合のみ。過去4年以内に税務申告に使用した「別表六(十)」の写し/事務局が後日公開するフォーマット/過去4年以内の研究開発費が計上された会計上の「販売費及び一般管理費明細書」の写し、のいずれか

⑧⑨のように賃金台帳の写しが求められるものは、対象となる月がはっきり決まっています。特に⑨は2025年7月応募申請の直近月という指定があり、過去の資料をさかのぼって用意する必要があります。加点を狙う方は、経理・労務のご担当者に早めに声をかけておきましょう。

⑩の経営革新計画については、承認書に計画期間が書かれていないと、それだけでは加点されません。その場合は経営革新計画書の写しもあわせて提出します。手元の承認書を今のうちに見て、計画期間の記載があるか確かめておくと安心です。

金融機関から借りて事業を行うなら「確認書」が必要です

補助金は、事業にかかった費用をいったん自社で支払ってから、後で受け取るしくみです。そのため、金融機関からの借入などで資金を用意する計画の方も多いはずです。

その場合、上の表の④「金融機関による確認書」(所定様式)の提出が必要になります。逆に、自己資金だけで補助事業を行う場合は提出不要です。

この確認書について、公募要領では次のように定められています。

ただし、確認書は金融機関側に書いてもらう書類です。先方にも検討や決裁の時間が必要ですので、「事業計画の相談」という形で早めに話を通しておくのが現実的です。締切直前に持ち込んでも、すぐには出てきません。

見積書は「今は不要」。でも今のうちに動くべき理由

「見積書はいつ揃えればいいのか」は、よくいただくご質問です。公式のよくある質問では、次のように整理されています。

・応募申請の時点では、見積書の提出は不要です。
・ただし、交付申請の際には見積書を提出する必要があります。

「交付申請」とは、採択されたあとに行う、補助金を正式に決定してもらうための手続きのことです。つまり見積書は、応募のときではなく、採択後の段階で必要になります。

とはいえ、「だから今は何もしなくていい」わけではありません。事業計画には、どの設備をいくらで導入するのかという投資額を書くことになります。その金額の根拠を持たずに数字だけ書いても、計画としての説得力は出ません。

そこで、応募の段階では提出しないとしても、設備やシステムの業者から参考となる見積り(概算)をもらって、投資額を固めておくことをおすすめします。業者からの見積りは、依頼してから出てくるまでに時間がかかることも珍しくありません。提出義務がないうちから動いておくと、採択後の交付申請もそのまま楽になります。

電子申請のルールで、先に知っておくべきこと

操作手順は受付開始後になりますが、ルールとして今から知っておくべきことがいくつかあります。準備の進め方そのものに関わる内容です。

代理申請はできません

本補助金の申請は電子申請システムでのみ受け付けられ、代理申請はできません。公募要領では、電子申請システムに委任関係を管理する機能が提供されていないためと説明されています。

申請者自身が内容を理解・確認したうえで申請する必要があり、申請者自身による申請と認められない場合は、採択の取消し・交付決定の取消しとなります。専門家に支援を受ける場合でも、最終的にご自身で内容を確認し、ご自身の手で申請する——この点は必ず押さえておいてください。

支援者がいる場合は、報酬額まで入力します

事業計画の作成を誰かに支援してもらっている場合は、申請時に次の4点をすべて入力する必要があります。

報酬額まで申告する仕組みになっていますので、支援を受ける場合は契約内容をはっきりさせておきましょう。

入力には数時間程度かかります

電子申請の入力作業には、一般的に数時間程度を要するとされています。締切日に一気に入力しようとするのは避け、受付開始後に日を分けて入力できるよう、内容は事前に手元で固めておくのが安全です。

応募は1事業者につき1申請まで

同一事業者の応募は、1回の公募につき1申請までです。さらに、親会社が議決権の50%超を持つ子会社など、「みなし同一事業者」とされる関係にある会社も合算して1申請までとなります。グループ会社で複数申請を検討している場合は、事前に確認が必要です。

事務局から後日公開される資料があります

ここまで準備の話をしてきましたが、現時点ではまだ公開されていない資料があります。公募要領に「後日公開予定」と明記されているのは、次のものです。

このうち事業計画テンプレートについては、公募要領で「これを使って申請内容を準備しておくと、受付開始後に円滑に手続きできる」という趣旨の案内がされています。公開されたら、まずこれを入手して中身に沿って準備を進めるのが確実です。

また、前述の「ファイル名確認シート」や、加点書類⑪で触れた事務局が後日公開するフォーマットも、あらためて確認が必要です。

これらの資料は、公開され次第あらためて確認してください。
現時点で内容を予想して準備を進めると、後から作り直しになるおそれがあります。公式サイト(中小機構)を定期的にご確認ください。電子申請システムの実際の操作手順については、受付開始後に本記事へ追記する予定です。

受付開始日から逆算した準備スケジュール

ここまでの内容を、9月30日(受付開始)と10月30日18:00(締切)から逆算して並べると、次のようになります。

時期 やること
いますぐ
(7月末〜8月上旬)
・GビズIDプライムの取得手続き(発行まで通常1週間程度/代表者本人が手続き)
・一般事業主行動計画の策定と「両立支援のひろば」への公表申請(2週間以上の余裕をもって)
・申請枠の決定と事業計画の骨子づくり
8月 ・決算書3期分、労働者名簿、確定申告書の控えを集める
・控えに電子申告の日時・受付番号(紙申告なら収受日付印)があるか確認。無ければ納税証明書の取得を検討
・設備・システムの参考見積りを業者へ依頼
・借入を予定するなら金融機関へ事業計画を相談(確認書の準備)
9月 ・事業計画書を作り込む
・加点を希望する書類(賃金台帳、経営革新計画承認書など)を揃える
・事務局が公開する事業計画テンプレート・応募申請ガイド・操作マニュアルを確認
・ファイル名確認シートに沿って添付ファイルの名前を整える
9月30日(水) 申請受付開始。電子申請システムへの入力を開始(入力には数時間程度)
10月 入力内容の最終確認と申請。締切間際を避け、余裕をもって完了させる
10月30日(金)18:00 応募締切(厳守)

こうして並べると、8月までに手を動かさないと苦しくなることがお分かりいただけると思います。特にGビズIDプライムと一般事業主行動計画の公表は、事業計画の中身が固まっていなくても今日から進められる作業です。

準備で迷ったら、専門家にご相談ください

第1回公募は、受付開始から締切までがおよそ1か月と短く、そのうえ事前に揃えておかないと間に合わない書類がいくつもあります。「何から手をつければいいのか分からない」という段階でつまずいてしまうのは、とてももったいないことです。

株式会社ミライズは、補助金申請に特化した中小企業診断士事務所です。累計補助金額23億円超の支援実績があり、採択率は70%を超えています

なお、本補助金は代理申請ができない制度です。申請そのものは必ずご自身で行っていただくことになりますが、準備すべき書類の整理や事業計画の作り込みは、伴走してお手伝いできます。「うちの場合はどの書類が必要になるか確認したい」「9月末までに間に合うか相談したい」——そんな段階のご相談も歓迎です。初回相談は完全無料、全国どこからでもオンラインでお話できます。

まとめ

※ 本記事は2026年7月30日時点の公式公表情報(公募要領1.1版)に基づいています。「予定」と記載した日程は変更される場合があります。申請前に必ず公式サイト(中小機構)で最新情報をご確認ください。

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