3つの申請枠、どれを選ぶかで悩んでいませんか

2026年度、従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金という新しい制度が誕生しました。2026年6月29日に第1回公募が始まっており、応募締切は2026年9月30日(水)18:00です。

この新制度には「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」という3つの申請枠が用意されており、自社の事業計画に合った枠を選んで申請します。ところが「うちの計画はどの枠に当てはまるのか」が分かりにくく、最初の一歩でつまずく経営者の方が少なくありません。

この記事では、3つの枠の違いを一覧表で整理し、「やりたいこと」から選ぶ考え方、見落としがちな注意点、締切から逆算した準備の進め方までを解説します。

この記事で分かること
・3つの申請枠の違い(対象事業・補助上限・補助率・補助下限・事業実施期間)
・自社の計画がどの枠に当てはまるかを判断する考え方
・枠選びで見落としがちな3つの注意点(補助下限・実施期間・補助率)
・第1回公募(2026年9月30日締切)から逆算した準備の手順

まずは全体像:3つの枠の比較早見表

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(以下「新制度」)の事務局は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)です。3つの申請枠の違いを5つのポイントで比較すると、次のようになります。

項目 革新的新製品・サービス枠 新事業進出枠 グローバル枠
対象事業 革新的な新製品・新サービスの開発 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出 海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化など
補助上限 750万〜2,500万円
(賃上げ特例で最大3,500万円)
2,500万〜7,000万円
(賃上げ特例で最大9,000万円)
新事業進出枠と同じ
(最大7,000万円、賃上げ特例で最大9,000万円)
補助率 中小企業1/2(一定条件で2/3)
小規模企業者・再生事業者2/3
中小企業1/2(一定条件で2/3) 中小企業2/3
補助下限 100万円 750万円 750万円
事業実施期間 交付決定日から10か月以内 交付決定日から14か月以内 交付決定日から14か月以内

ざっくり言えば、革新的新製品・サービス枠は旧ものづくり補助金に、新事業進出枠は旧新事業進出補助金に相当する枠です。補助上限は従業員数によって細かく分かれています。従業員規模別の上限額など制度全体の詳しい解説は、新制度の概要記事をご覧ください。

「やりたいこと」から選ぶのが基本

枠選びの原則は、「補助額が大きい枠はどれか」ではなく、「自社がやりたい事業がどの枠の対象に当てはまるか」で選ぶことです。計画の中身と枠が合っていなければ、どれだけ作り込んだ計画書でも評価されません。それぞれの枠に合う事業のイメージを見ていきましょう。

既存事業の延長で「革新的な新製品・新サービス」を開発する → 革新的新製品・サービス枠

いまの事業の延長線上で、これまでにない新しい製品やサービスを開発する計画なら、この枠が候補です。旧ものづくり補助金で申請されてきたタイプの計画は、おおむねここに当てはまります。

既存事業と異なる「新市場・高付加価値事業」に進出する → 新事業進出枠

いまの事業とは異なる分野・市場に打って出る計画なら、この枠が候補です。旧新事業進出補助金に相当し、事業の柱をもう1本つくるような挑戦を後押しします。

海外輸出の体制をつくる → グローバル枠

海外市場の開拓(輸出)に向けて国内の体制を強化する計画なら、この枠が候補です。海外に拠点をつくるのではなく、輸出に取り組むための国内の体制づくりが対象という点がポイントです。

なお、グローバル枠だけは補助対象経費に海外旅費・通訳翻訳費が含まれる点も特徴です。

実際には「既存事業の延長か、別事業への進出か」の線引きが悩ましいケースも多くあります。迷う場合は公募要領の定義を確認するか、専門家への相談をご検討ください。

枠選びで見落としがちな3つの注意点

注意点1:補助下限額が大きく違う(100万円と750万円)

意外と見落とされがちなのが、補助金額の下限です。革新的新製品・サービス枠の下限は100万円ですが、新事業進出枠とグローバル枠の下限は750万円。つまりこの2つの枠は、補助金額が750万円以上になる、ある程度大きな投資計画でなければ申請の土俵に乗れません。

補助率を踏まえると、事業全体の経費はさらに大きな規模になります。「新分野にまずは小さく出てみたい」という投資では新事業進出枠の対象にならないことがあるため、投資規模は早い段階で確認しておきましょう。

注意点2:事業実施期間が違う(10か月と14か月)

補助事業をやり切るまでの期間(事業実施期間)は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内、新事業進出枠・グローバル枠が14か月以内と定められています。

特に革新的新製品・サービス枠は期間が短めのため、納品までに時間がかかる設備を導入する計画では、期間内に事業を完了できるかを事前に確認してください。

注意点3:補助率が違う(グローバル枠は2/3)

補助率は、革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠が原則1/2(一定の条件を満たす場合は2/3。革新的新製品・サービス枠では小規模企業者・再生事業者は2/3)であるのに対し、グローバル枠は2/3です。

補助率は自己負担額に直結します。なお、補助率が2/3になる「一定の条件」の詳細は、公募要領でご確認ください。

第1回公募のスケジュールと逆算準備

第1回公募のスケジュールは次のとおりです。

日程 内容
2026年6月29日(月) 公募要領公開(公募開始)
2026年8月31日(月) 申請受付開始
2026年9月30日(水)18:00 応募締切(厳守)
2026年12月頃(予定) 採択発表

本記事の公開時点(2026年7月10日)から締切までは、約2か月半しかありません。事業計画書は投資の中身や数値計画を詰めながら作り込むため、作成には通常1〜2か月程度かかります。「受付が始まる8月31日から考え始める」のでは間に合わないおそれが大きく、申請するなら今すぐ準備に着手するのが現実的です。

第2回公募の予定は、現時点で発表されていません。
第1回を逃すと次のチャンスがいつになるか分からないため、投資の時期が決まっている方ほど早めに動くことをおすすめします。

申請までに準備すること

第1回公募に向けて、今から進めておきたい準備は次の5つです。

  1. GビズIDプライムの取得:申請には「GビズIDプライム」(行政手続き用の共通アカウント)が必要です。取得には時間がかかるため、未取得の方は最優先で手続きしてください。
  2. 事業計画の骨子づくり:どの枠で申請し、何に投資し、どう売上・利益を伸ばして賃上げにつなげるか——計画の骨組みを固めます。枠選びの判断材料にもなります。
  3. 設備・システムの見積もり取得:導入する機械やシステムの見積もりを業者に依頼します。入手までに時間がかかることも多いため、早めに動きましょう。
  4. 金融機関への相談:借入など金融機関から資金提供を受けて事業を行う場合は、金融機関による事業計画の確認が必要です。早い段階で話を通しておきましょう。
  5. 公募要領の熟読:対象経費や要件の詳細は公募要領に定められています。公式サイト(中小機構)で最新の公募要領を必ずご確認ください。

審査の流れも知っておこう

新制度の審査は、書類審査に加えて該当者のみ口頭審査が行われます。事業計画を自分の言葉で説明できるよう準備しておくことが大切です。

採択発表は2026年12月頃の予定です。採択後は、採択発表日から原則2か月以内に「交付申請」という手続きを行い、交付決定を受けてから補助事業を開始します。事業実施期間(10か月・14か月)はこの交付決定日から数えます。

迷ったら専門家に相談を

3つの枠は、対象事業・補助上限・補助率・補助下限・事業実施期間がそれぞれ異なります。そして枠の選択を誤ると、計画の中身を磨く以前の問題で採択が遠のきます。「既存事業の延長か、新市場への進出か」の判断が難しい計画ほど、早めに第三者の目を入れることをおすすめします。

株式会社ミライズは、補助金申請に特化した中小企業診断士事務所です。累計補助金額23億円超の支援実績があり、採択率は70%を超えています

「うちの計画はどの枠が合うか見てほしい」「第1回公募に間に合うか相談したい」——そんな段階のご相談も歓迎です。初回相談は完全無料、全国どこからでもオンラインでお話できます。

まとめ

※ 本記事は2026年7月10日時点の公式公表情報に基づいています。「予定」と記載した日程は変更される場合があります。申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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