「計画書は一生懸命書いているのに、なぜか採択されない……」

そんなとき、見落としがちなのが「加点項目」です。加点項目とは、補助金の審査で条件を満たすだけでもらえるボーナス点のこと。計画書の中身とは別に、点数が上乗せされる仕組みです。

実は、採択される会社とされない会社の差は、計画書の出来だけでなく「加点をいくつ取ったか」で決まっていることが少なくありません。

この記事では、2026年時点で主要な補助金で評価されている加点項目9個と、その取り方・準備期間をまとめてご紹介します。

この記事で分かること:
・加点項目とは何か、採択にどれくらい影響するか
・2026年に使える主要な加点項目9個の一覧
・どの加点から優先して取るべきか(コスパの良い順)
・申請までに間に合わせるためのスケジュール感

加点項目は"無料で採択率を上げる"武器です

加点項目のすごいところは、ほとんどが無料で、しかも計画書の内容とは別に点数が上乗せされることです。

たとえば、事業計画書そのものの点数が同じAさんとBさんがいたとして、加点項目を3つ取っているBさんのほうが、当然上位にきます。補助金は「点数が高い順に採択」なので、加点が1つあるだけで採択ラインを超えられることも珍しくありません。

ポイント:加点項目は「取れるものは全部取る」が鉄則です。1つの加点が採択・不採択の分かれ目になることも普通にあります。

加点項目とは何か(基礎点+加点で順位が決まる仕組み)

補助金の審査は、おおむね次のような点数構造になっています。

項目内容点数の傾向
基礎点(審査点)事業計画書の中身を採点する部分100点満点など
加点条件を満たすと上乗せされる点数1つにつき数点〜十数点
減点条件に当てはまると引かれる点数稀に設定される

基礎点だけで勝負しようとすると、計画書の出来がよほど良くないと採択ラインに届きません。しかし、加点を3〜5個取っておけば、標準的な計画書でも十分に採択圏内に入ってきます。

2026年の主要な加点項目9個【一覧表】

現在、多くの補助金で評価されている加点項目を9個にまとめました。難易度・準備期間・コスパの目安も記しています。

No.加点項目難易度準備期間費用
1賃上げ計画(事業場内最低賃金の引き上げ)★★☆すぐ無料(ただし賃上げ実施が必要)
2パートナーシップ構築宣言★☆☆1週間無料
3事業継続力強化計画の認定★★☆1〜2か月無料
4経営革新計画の承認★★★2〜3か月無料
5健康経営優良法人認定★★★半年〜1年一部有料
6DX認定事業者★★★3〜6か月無料
7くるみん・えるぼし認定★★★半年〜1年無料
8働き方改革の取り組み★★☆3〜6か月助成金併用可
9地域経済牽引事業計画の承認★★★2〜3か月無料

それぞれ順番に、内容と取り方を解説します。

①賃上げ計画(事業場内最低賃金+30円以上など)

従業員の給与を一定以上引き上げる計画を立てることで加点されます。代表的な条件は以下のとおりです。

ものづくり補助金・新事業進出補助金など、多くの補助金で大幅加点の対象となっている人気の項目です。ただし、達成できなかった場合は補助金の返還を求められることもあるため、実現可能な水準で計画することが大切です。

②パートナーシップ構築宣言

取引先との共存共栄、下請け企業への適正な取引を行うことを宣言する制度です。専用サイトから無料で登録でき、1週間程度で完了する、最も手軽な加点項目です。

ものづくり補助金・省力化投資補助金・中小企業省エネルギー診断対策費補助金など、多くの補助金で加点対象になっています。「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」で検索し、ひな形に沿って登録するだけで完了します。

ポイント:パートナーシップ構築宣言は、「一番コスパが良い加点」と言われます。無料・短期間・簡単な3拍子そろっているので、補助金申請を考えているなら真っ先に登録しましょう。

③事業継続力強化計画(BCP:事業継続計画)の認定

災害やトラブルが起きたときに事業を続けるための備えを計画にまとめ、国の認定を受ける制度です。いわゆる「BCP(事業継続計画)」を簡易にしたものです。

防災対策にもなりますし、認定を受けると日本政策金融公庫の低利融資なども使えるようになるため、補助金以外のメリットも大きい項目です。

④経営革新計画の承認

新しい取り組みによって経営を良くしていく3〜5年の計画書を、都道府県に提出して承認を受ける制度です。

承認されると、多くの補助金で加点になるだけでなく、税制優遇・融資・信用保証の特例など多くのメリットがあります。ただし、計画書の作成にはある程度の手間がかかるため、早めの準備が必須です。

⑤健康経営優良法人認定

従業員の健康管理を経営的な視点で考え、実践している企業を顕彰する制度です。中小企業向けの「ブライト500」もあります。

申請のハードルはやや高めですが、採用面でも効果があるため、中長期の視点で取得を目指す価値があります。

⑥DX認定事業者

デジタル技術の活用で企業を変革していく姿勢を示す、経済産業省の認定制度です。ホームページで「DX認定」「DX-Ready」を名乗れるようになります。

デジタル化・AI導入補助金・ものづくり補助金などで加点となります。

⑦くるみん・えるぼし認定

くるみんは子育てサポートに積極的な企業、えるぼしは女性活躍推進に積極的な企業に与えられる厚生労働大臣の認定です。

採用ブランディングにも効果があるため、長期視点で取り組む価値がある加点です。

⑧働き方改革・生産性向上の取り組み

時間外労働の削減、有給取得率の向上、テレワーク導入などに取り組んでいる企業は加点される場合があります。働き方改革推進支援助成金を使えば、社会保険労務士への費用を含めた取り組み費用に別途助成金も出るため、組み合わせると効果的です。

⑨地域経済牽引事業計画の承認

地域の経済を牽引する事業として、都道府県から計画を承認してもらう制度です。地方拠点強化税制などの税制優遇にもつながります。

優先的に取るべき加点項目(コスパ順)

9個すべてを取るのは現実的ではありません。「短期間・無料・効果大」の順で、優先的に取るべき加点をまとめました。

【最優先】申請前に絶対取っておきたいもの

  1. パートナーシップ構築宣言(1週間・無料・登録するだけ)
  2. 賃上げ計画(計画書に書くだけ・ただし実行必須)
  3. 事業継続力強化計画(1〜2か月・無料・防災にもなる)

【次に狙う】計画的に準備して取りたいもの

  1. 経営革新計画(2〜3か月・無料・特典多数)
  2. DX認定事業者(3〜6か月・無料・IT系補助金に強い)

【中長期で取得を目指すもの】

ポイント:まずは「パートナーシップ構築宣言」だけでも先に取っておきましょう。1週間でできる上に、多くの補助金で加点になるので、取らない手はありません。

加点はいつまでに準備する?申請逆算スケジュール

加点項目の多くは、申請までに「認定済み」「宣言済み」の状態になっている必要があります。公募開始後に慌てても間に合わないものが多いので、早めに動きましょう。

加点項目申請の何か月前までに動く?
パートナーシップ構築宣言直前でもOK(1週間前)
賃上げ計画申請時に表明でOK
事業継続力強化計画3か月前までに申請開始
経営革新計画4か月前までに申請開始
DX認定事業者半年前までに準備開始
健康経営優良法人年1回の申請時期に合わせる
くるみん・えるぼし1年前から取り組み開始
注意:加点項目は、申請時点で「認定済み・取得済み」でないと加点されません。「これから申請します」ではダメです。公募要領に書かれた基準日を必ず確認しましょう。

加点は"取るだけ"ではダメ。計画書での触れ方も大事

加点項目を取得しても、計画書の中で適切に触れることが大切です。

特に経営革新計画や事業継続力強化計画は、計画書本文と整合性を取ると評価が上がります。たとえば事業継続力強化計画の認定企業が、防災関連の取り組みに触れずに計画書を書いていると、「本当に計画を実行しているのか?」と疑問を持たれかねません。

補助金ごとに加点項目が違う点に注意

すべての補助金で同じ加点項目が評価されるわけではありません。補助金ごとに「加点対象」と「加点の重み」が違います

補助金特に重視される加点
ものづくり補助金賃上げ、経営革新計画、DX認定
新事業進出補助金賃上げ、パートナーシップ構築宣言
小規模持続化補助金賃上げ、事業継続力強化計画、経営革新計画の承認
省力化投資補助金賃上げ、パートナーシップ構築宣言
成長加速化補助金賃上げ、事業継続力強化計画

申請する補助金が決まったら、必ず公募要領の「加点項目」欄を読み込みましょう。そこに書いてあるものだけが評価されます。

注意:加点項目は公募のたびに微妙に変わることがあります。「前回の公募ではあった加点が、今回はなくなった」というケースもあるので、最新の公募要領を必ず確認しましょう。

まとめ

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