補助金は「出せば通る」ものではありません
補助金の申請を考えている方の中には、「申請すれば誰でももらえるのでは?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、補助金には審査があり、すべての申請が採択されるわけではありません。
では、採択される申請と不採択になる申請には、どんな違いがあるのでしょうか。この記事では、採択率を上げるための5つのポイントを、補助金申請のプロである中小企業診断士の視点でわかりやすく解説します。
・主要な補助金の採択率の傾向
・採択率を上げるための5つの具体的なポイント
・不採択になりやすい典型的なパターン
・専門家に頼むと採択率はどう変わるか
補助金の採択率はどのくらい?
採択率は補助金の種類や公募回によって異なりますが、大まかな傾向をお伝えします。
| 補助金名 | 採択率の目安 |
|---|---|
| ものづくり補助金 | 近年は30〜40%程度(回によって変動) |
| 小規模事業者持続化補助金 | 回によって40〜60%程度(ばらつきが大きい) |
| 新事業進出補助金(事業再構築の後継) | 前身の事業再構築補助金の直近実績は25〜35%程度 |
| 省力化投資補助金(カタログ型) | 比較的高い傾向 |
採択率50%ということは、2件に1件は不採択になるということです。「出せば通る」というものではなく、しっかりとした準備が必要だと分かります。
採択率を上げる5つのポイント
ポイント1:公募要領を熟読する
これが最も基本で、最も大切なことです。公募要領(こうぼようりょう)とは、「どんな会社が対象か」「どんな経費が使えるか」「何を書けばいいか」が書かれた説明書のようなものです。
分厚くて読みにくいと感じるかもしれませんが、少なくとも以下の項目はしっかり確認しましょう。
- 対象となる事業者の条件(自社が該当するかの確認)
- 対象となる経費の範囲(使いたい費用が対象に入っているか)
- 審査の観点・審査項目(何を基準に評価されるか)
- 加点項目(追加で評価されるポイント)
特に「審査項目」は、事業計画書を書く際の骨組みになります。ここを読み飛ばしてしまうと、審査員が見たいポイントとずれた内容を書いてしまう原因になります。
ポイント2:審査項目に沿って書く
補助金の審査には、明確な審査基準が設けられています。審査員はこの基準に沿って、一つひとつチェックしながら点数をつけていきます。
つまり、事業計画書は「自分が書きたいこと」ではなく、「審査員が確認したいこと」に答える形で書くのがコツです。
ポイント3:数字で根拠を示す
「売上を伸ばしたい」「生産性を上げたい」という気持ちだけでは、審査員には伝わりません。大切なのは、具体的な数字とその根拠です。
- 「売上を増やす」 → 「月商を現在の300万円から400万円に増やす(33%増)」
- 「生産性を上げる」 → 「作業時間を1日あたり2時間削減する」
- 「新規顧客を獲得する」 → 「年間で新規顧客を30件獲得する」
そして、「なぜその数字が達成可能なのか」を説明することが重要です。過去の実績、業界のデータ、顧客からの引き合い状況など、根拠となる情報を必ず添えましょう。
ポイント4:自社の強みを明確にする
審査員は、「なぜこの会社なら計画を実行できるのか」を見ています。そのために大切なのが、自社ならではの強みをはっきりと伝えることです。
- 長年培った技術やノウハウ
- 他社にはない独自の商品・サービス
- 特定の業界での豊富な実績
- 地域に根ざしたネットワーク
「当社には特別な強みがない」と思う方もいるかもしれませんが、日々の仕事の中で自然にやっていることが、実は大きな強みだったということは少なくありません。第三者の視点を借りると、自分では気づかなかった強みが見つかることもあります。
ポイント5:第三者(専門家)のチェックを受ける
事業計画書は、自分で書いていると客観的な視点を保つのが難しくなります。「自分では分かりやすく書いたつもり」でも、第三者が読むと意味が通じないということは、実はとてもよくあります。
提出前に、以下のような方にチェックしてもらうのが効果的です。
- 中小企業診断士などの専門家:審査のポイントを熟知しているため、的確なアドバイスがもらえます
- 事業に詳しくない家族や知人:「読んで意味が分かるか」のチェックに最適です
- 商工会議所の相談窓口:無料で相談に乗ってもらえることもあります
不採択になる典型的なパターン
採択率を上げるには、「やってはいけないこと」を知ることも大切です。不採択になりやすい申請には、いくつかの共通パターンがあります。
パターン1:審査項目への回答が漏れている
公募要領に書かれている審査項目に対して、事業計画書の中で触れていない項目がある場合です。審査員はチェックリストに沿って評価するため、書かれていないことは「対応していない」と判断される可能性があります。
パターン2:計画の具体性が足りない
「新しいサービスを始めます」「設備を導入します」と書いてあっても、いつ・何を・どれくらいの規模で・いくらかけて実施するのかが曖昧だと、審査員は計画の実現性を判断できません。
パターン3:投資の必要性が伝わらない
「なぜ今この投資が必要なのか」が明確でないと、審査員を納得させることができません。現在の課題と、その解決策としての投資がつながっているかを、論理的に説明することが大切です。
パターン4:書類の不備・形式ミス
意外に多いのが、形式的なミスによる減点や不備です。ファイル形式の指定、文字数の上限、必要書類の添付漏れなど、内容以前の部分で損をしてしまうケースがあります。
・審査項目にすべて回答しているか
・数字の根拠が示されているか
・添付書類はすべて揃っているか
・誤字脱字がないか
・第三者に読んでもらったか
専門家に頼むと採択率はどう変わるか
「自分で申請するのと、専門家に頼むのとでは、採択率に違いがあるの?」というご質問をよくいただきます。
一概に「何%上がる」とは言えませんが、専門家のサポートを受けることで採択率が高まる傾向があるのは事実です。その理由は以下の通りです。
- 審査項目を熟知しているため、漏れのない事業計画書が作れる
- 多数の申請を支援した経験から、採択されやすい書き方のコツを知っている
- 客観的な視点で内容をチェックし、分かりにくい部分を改善できる
- 書類の不備や形式ミスを事前に防げる
特に、申請が初めての方や、過去に不採択になった経験がある方は、専門家に相談することで大きな改善が期待できます。
自分で申請するか専門家に頼むかの判断基準については、「補助金は自分で申請する?専門家に頼む?判断基準を解説」で詳しく説明しています。
また、専門家に頼む場合の費用感については「補助金の申請代行の費用相場は?|依頼先の選び方ガイド」をご覧ください。
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まとめ
- 補助金には審査があり、採択率はおおむね30〜60%程度(補助金や回による)
- 採択率を上げる5つのポイントは、公募要領の熟読・審査項目への対応・数字の根拠・自社の強み・第三者チェック
- 不採択になるパターンは決まっている——事前に知っておけば防げる
- 専門家のサポートを受けることで、採択率を高められる傾向がある
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