「人手不足」をどう数字で示すか
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足の課題を解決する設備投資を支援する制度です。補助上限は最大1億円と大きい一方で、申請には数十ページの計画書が必要です。
第5回(2025年8月発表)の採択率は60.9%とやや高めですが、「人手不足の課題」を抽象的に書くだけの計画書は通りにくいのが実態です。この記事では、計画書で人手不足を具体的に示す方法と、採択計画書のコツを解説します。
・省力化投資補助金が見ている「人手不足」の評価軸
・人手不足を数字で示す具体的な書き方
・採択計画に共通する5つのポイント
・落ちやすいパターンと改善策
省力化投資補助金が見ている評価軸
審査員は計画書を次の3つの軸で見ます。
- 人手不足の深刻度:本当に困っているか
- 省力化の効果:投資でどれだけ人手が削減できるか
- 賃上げへの還元:浮いた原資を従業員にどう還元するか
つまり「困っている」だけでも、「効率化できる」だけでも足りず、困窮→投資→効率化→賃上げの一連のストーリーが必要です。
人手不足を数字で示す3つの切り口
切り口1:採用の難しさ
「採用に苦労している」を数字にします。次のような数字が説得力を持ちます。
- 過去3年の求人広告掲載期間(平均○日)
- 応募者数(前年比)
- 採用人数/募集人数の充足率
- 1人採用にかかった広告費
切り口2:既存従業員の負荷
「現有の人員で回らない」を数字にします。
- 従業員1人あたり残業時間(月平均○時間)
- 休日出勤の発生回数
- 離職率の推移(同業界平均との比較)
- 有給消化率
切り口3:機会損失
「人手不足で仕事を断っている」を数字にします。
- 受注辞退件数(年間○件)
- 納期遅延の発生件数
- 人手不足で受注できなかった売上推定額
採択計画に共通する5つのポイント
1. 投資前後のビフォー・アフターが具体的
「導入前は1日100個、導入後は1日500個処理」のように数字で対比します。「効率化される」だけの抽象表現はNG。
2. 削減される人時(じんじ)が明示
「年間○○○○時間の削減」「従業員○名分の作業を機械化」など、削減される労働時間を明示します。これが省力化補助金の最重要KPI。
3. 削減原資の使い道(賃上げ)が明確
削減で浮いた人件費を、誰の給料を、いつから、いくら上げるのかに落とし込みます。「賃上げに回します」だけでは弱いです。
4. 設備の選定理由が論理的
「なぜこの設備か」「他社製品ではなくこの製品か」を、仕様比較・コスト比較・実績比較で説明します。相見積もりは必須。
5. 実装後の運用体制が描けている
設備を入れて終わりではなく、誰が使うか・メンテはどうするか・トラブル時の対応はまで書きます。「使いこなせる体制」が見えると評価が上がります。
落ちやすいパターン
パターン1:人手不足を「業界全般の課題」で済ませている
「中小製造業は人手不足が深刻」と書くだけでは、自社が困っている根拠になりません。自社の数字で語る必要があります。
パターン2:省力化の効果が「期待値」で書かれている
「○%効率化が見込まれる」と書くだけで、計算根拠がない計画書はNG。「現状○時間→導入後○時間」と具体的な計算式が必要。
パターン3:賃上げ計画が後付け
「効率化で原資ができたら賃上げを検討」のような条件付き表現は弱いです。「○○円の人件費削減を、給与昇給の原資にする」と確定的に書くのが基本。
第6回公募からは省力化ナビへの登録・活用が加点項目になり、減点制度も導入されました。「省力化ナビを活用した検討プロセス」を計画書に組み込むことが標準になっています。
計画書はチームで書くのが採択への近道
省力化投資補助金の計画書は、業務改善・経営戦略・財務の知識が複合的に必要です。1人で書き上げるのは負担が大きく、第三者の目を通すのが採択への近道です。
株式会社ミライズでは、中小企業診断士が計画の骨子から並走します。Zoomと共有ドキュメントだけで、全国どこからでもオンライン完結。初回相談は無料です。
まとめ
- 省力化投資補助金の評価軸は人手不足の深刻度・省力化の効果・賃上げへの還元
- 人手不足は採用・既存従業員の負荷・機会損失の3つで数字化
- 採択計画はビフォーアフター・削減人時・賃上げ・設備選定・運用体制の5要素必須
- 抽象表現・期待値表現・後付け賃上げは落ちやすい
- 第6回からは省力化ナビ加点・減点制度に対応必須