採択のあとの交付申請(補助の対象にする経費を見積で示し、補助金の額を決めてもらう手続き)で、何度も差し戻される(事務局から直すよう求められて返される)。そのとき直すよう言われるのは、経費の中身だけではありません。見積書の受渡場所、設備の名前、有効期限、相見積の数といった、見積書という書類そのものの書き方も多く含まれます。
新事業進出補助金の交付申請ガイドにも、交付申請の書類の不備で最も多いのは、見積依頼書と見積書の不備だと書かれています。差し戻しが続けば、交付決定(補助金を出すことが正式に決まること)が遅れ、発注できる日も遅れます。
この記事では、当社が支援した2つの事例で見積書について実際に直した点を、公式資料の決まりと並べて紹介します。
- A社:宿泊とは別の業種を本業とする会社。観光地に宿を新築(新事業進出補助金)
- B社:地方で飲食店を複数営む会社。名物料理を冷凍するための設備を導入(ものづくり補助金)
事例の全体の流れはA社の事例紹介とB社の事例紹介に、見積書のどの行が補助の対象外とされたかは対象外になった経費の記事にまとめています。この記事では、見積書という書類の整え方にしぼって掘り下げます。
この記事で分かること
- 宛名・受渡場所、メーカー名・型番、有効期限、相見積、特注品の説明で、実際に直した点
- 新事業進出補助金とものづくり補助金で違う、見積書の決まり(資料名・ページ付き)
- 見積書を受け取ったときに確かめる10項目のチェックリスト
※資料名のあとのページは、PDFのページ番号です(印刷されたページ番号とずれることがあります)。参照した版は、新事業進出補助金が補助事業の手引き(第1.8版)など、ものづくり補助金が最後の公募回(23次締切)の公募要領・補助事業の手引き(1.0版)などです。新事業進出補助金の交付申請ガイドは、公募の回ごとに冊子が分かれていて、回によってページが違うため、ページを書いていません。版や公募の回によってページや内容が変わるので、申請する回の最新の資料で確かめてください。
2つの事例で、見積書について直したこと
まず、2つの事例で見積書について指摘を受けたり、直したりした点を一覧にします。
| 確認点 | 事例 | あったこと |
|---|---|---|
| 受渡場所 | B社 | 本店→実施場所の店舗 |
| 名前・型番 | B社 | 書類ごとの名前を統一 |
| 有効期限 | A社 | 空欄→期限を追記 |
| 有効期限 | B社 | 期限切れ→全件差し替え |
| 相見積 | A社 | 同じ依頼書で3社ずつ |
| 相見積 | B社 | 3件→「2件でよい」 |
| 特注品 | B社 | 補足説明書を追加 |
| 一式・諸経費 | A社 | 諸経費の行を対象外に |
| 一式・諸経費 | B社 | 内訳を求められた |
B社は交付申請を4回提出し、3回あった差し戻しのすべてに、見積書についての指示が入っていました。A社(約2か月で7回提出)のやり取りの中心は、どの行が対象になるかの線引きでしたが、見積書の書き方についての確認もありました。
書き方の指摘は、見積書を受け取った時点で確かめておけば、出し直しの回数を減らせます。ここからは確認点ごとに、「この事例では」「公式の決まりでは」「見積の段階で」の順に見ていきます。
① 宛名と受渡場所:申請した会社名・実施場所と同じに
この事例では:B社の見積書の宛名は、申請した会社名で問題ありませんでした。ずれていたのは「受渡場所」(品物を届ける場所)です。見積書では本店になっていましたが、設備を置くのは、計画書に補助事業の実施場所として書かれている別の店舗でした。1回目の差し戻しで受渡場所を実施場所の店舗に変えるよう指示があり、受渡場所を直した見積書に差し替えています。B社が使った交付申請の様式にも、実施場所の欄に「事業実施場所の変更はできません」と書かれていました。
公式の決まりでは:
- ものづくり補助金:補助事業の実施場所とは、補助の対象の機械装置などを設置する場所(または保管などで主に管理する場所)です(公募要領 p.12)。補助事業の手引きの対象外の一覧には、「事業者が指定した国内の事業実施場所に引き渡されないもの」という書き方があります(p.16)。実施場所は、申請したあとは原則として変えられません(事業計画書の様式)。交付決定のあとに、やむを得ず変える場合も、前もって計画変更の承認が必要です(補助事業の手引き p.12、交付規程 第10条)。
- 新事業進出補助金:見積書には宛名(申請事業者)が必要です(補助事業の手引き p.28、交付申請ガイド)。宛名が申請事業者と一致していないことは、見積書のよくある不備の一つに挙がっています(交付申請ガイド)。
見積の段階で:見積を頼むときに、「宛名は申請した会社名」「受渡場所(工事なら工事場所)は計画書に書いた実施場所の住所と事業所名」と伝えておきましょう。B社のように、本店と実施場所が違う場合はとくに注意が必要です。
② メーカー名・型番:すべての書類で同じ名前に
この事例では:B社の書類では、同じ設備が書類ごとに違う名前で書かれていました。たとえば真空包装機は、応募時の計画書の見出しでは「パッキング機械」、品名の欄では「真空包装機」。経費明細表(補助の対象にする経費の金額と内訳を書く表)には「パッキング機械」と入っていました。大型の冷凍庫も、計画書では「プレハブ冷蔵庫」、見積書では「プレハブ冷凍庫」です。
1回目の差し戻しでは、次の3点を指示されました。
- 見積書の件名か品名に、メーカー名を入れる
- 経費明細表の名前を、見積書と同じにする(メーカー名を含めた機械名と型番)
- 交付申請の計画書の「導入予定の機械装置の名称」も、同じ名前にする
さらに2回目の差し戻しで、経費明細表の機械名の後ろに型番を入れ、「一式」を「1台」に直すよう指示されました。経費明細表の書き方は、次のように変わっています(メーカー名と型番は伏せています)。
| 段階 | 経費明細表の書き方 |
|---|---|
| 最初 | パッキング機械 ×1 |
| 1回目の直し | ○○社製 真空包装機 一式 |
| 2回目の直し | ○○社製 真空包装機(型番)1台 |
B社が使った交付申請の様式(経費明細表)には、提出前の確認欄として「積算基礎の製品名(または型番)と単価・数量が見積書と一致していること」と書かれていました(積算基礎は、金額の内訳を書く欄です)。見積書・経費明細表・計画書を、名前で突き合わせられるようにしておく必要があるということです。
公式の決まりでは:
- ものづくり補助金:実績報告資料等作成マニュアルでは、注文書・納品書・請求書を、見積書と品番や名称、金額、見積書の番号などで照合できるようにするよう示されています。品名・型番・金額などが交付申請のときから変わる場合は、軽微な変更でも購入の前に事務局へ連絡が必要です(p.18)。
- 新事業進出補助金:見積書には「品番もしくは品名」が必要です(補助事業の手引き p.28、交付申請ガイド)。交付決定のあとに、単価50万円(税抜き)以上の物を変えるときは、事前に計画変更の承認が要ります(交付規程 第12条)。実績報告ガイドの見積書の見本でも、具体的な個数があるものは「一式」ではなく数量を書くよう示されています(p.11)。
見積の段階で:計画書を書く段階で、設備ごとに正式な名前を1つ決めておきましょう。「メーカー名+機械名+型番」の形にして、見積書の品名、経費明細表、計画書、その後の注文書や請求書まで、同じ書き方で通します。名前は、交付申請だけでなく実績報告でも、書類どうしを照合する手がかりになります。
③ 有効期限:空欄と期限切れを防ぐ
この事例では:
- A社:工事の見積書の表紙にある「見積有効期限」の欄が空欄でした。事務局からは「有効期限の確認ができませんでした。有効期限は無期限ということでよろしいでしょうか」と確認がありました。施工会社に問い合わせると「発行後6か月間」とのことだったので、見積書に書き足してもらって出し直しています。設計の見積書も、有効期限を書き加えた版に差し替えました。
- B社:見積書の有効期限は「提出日より60日」でした。交付申請のやり取りが続くうちに期限が切れ、3回目の差し戻しで「有効期限が切れていないものを」と指示されました。4つの設備の本見積・相見積をすべて新しい見積書に差し替えています。新しい見積書の有効期限は、「見積日より90日」などでした。
最初の提出から交付決定までは、A社で約2か月半、B社で約3か月かかりました。B社の60日の有効期限では、足りなかったことになります。
公式の決まりでは:どちらの補助金も、交付申請の時点で有効な見積書が必要です。ただし、そのあとの扱いの書き方が違います。
- 新事業進出補助金:見積書には「交付申請時点で有効な見積りの有効期限日」を書く必要があり、初回の交付申請日の時点で有効かを確かめるよう示されています。交付決定までに有効期限を過ぎた場合は、見積書に書かれた金額を上限として交付決定するとされています(補助事業の手引き p.28、交付申請ガイド)。
- ものづくり補助金:交付申請の時点で有効な見積書に加えて、発注するときにも、発注の時点で有効な見積書が必要です(補助事業の手引き p.4)。有効期限切れに注意するよう書かれ(同 p.16)、実績報告資料等作成マニュアルでも、注文の時点で期限が切れていないかを確かめるよう示されています(p.18)。
見積の段階で:
- 受け取ったら、有効期限の欄が空欄でないか、「発行日より6か月」のように、いつから数えるかが分かる書き方かを確かめる
- 応募の準備で取った見積書を使うときは、交付申請の前に期限を確かめ、切れていれば取り直す
- ものづくり補助金では、発注の時点でも有効な見積書が要る。交付決定まで数か月かかることを見込み、期限が短ければ、長めの期限で出してもらえないか相談する。発注の直前にも、もう一度確かめる
④ 相見積:同じ見積依頼書で、必要な数をそろえる
相見積(あいみつもり)は、値段が妥当かを比べるために、同じ条件で別の会社からも取る見積です。
この事例では:
- A社(新事業進出補助金):事務局の参考様式の見積依頼書を使い、工事は施工会社3社、設計は設計事務所3社に、それぞれ同じ内容の依頼書を同じ日に出しました。工事の依頼書には、件名、所在地・用途・構造・面積、頼みたい工事の範囲(建物本体・電気・給排水・水道の引き込み・防災・外構)、提出の締切を書いています。工事も設計も3社の見積がそろい、それぞれ最も安い会社を選びました。交付申請では、見積依頼書と3社分の見積書をまとめて出しています。
- B社(ものづくり補助金):最初の交付申請では、4つの設備ごとに、本見積1件と相見積2件の計3件を出していました。1回目の差し戻しで「本見積と相見積を合わせて2件でよい」と案内され、2件に整理しています。また、対象外とされた行には、本見積と相見積の両方に「補助対象外」と書き込むよう指示されました。
公式の決まりでは:相見積の決まりは、補助金によって基準も数も違います。
| 項目 | 新事業進出 | ものづくり |
|---|---|---|
| 要る金額 | 合計50万円以上 | 単価50万円以上 |
| 要る数 | 3者以上 | 2社以上 |
| 50万円未満 | 1者以上※ | 1社以上 |
| 依頼書 | 必須・様式あり | 様式3か仕様書 |
| 例外 | 販売元限定など | 合理的な理由 |
| 例外の手続 | 事務局へ連絡 | 業者選定理由書 |
※新事業進出補助金の広告宣伝・販売促進費は、50万円未満でも2者以上が必要です。金額は税抜き。「合計」は発注先ごとの見積額の合計、「単価」は1つの物の値段です。出典は、新事業進出補助金が補助事業の手引き p.27・p.28と交付申請ガイド、ものづくり補助金が補助事業の手引き p.15、公募要領 p.25。
なお、ものづくり補助金の交付規程(第11条)では、50万円以上の契約をするときに、2者以上の見積を取ることとされています。こちらの基準は、1つの物の単価ではなく、契約の金額です。単価が50万円未満の物でも、まとめて1社に発注して契約が50万円以上になるときは、2社以上から見積を取っておくと、手引きと交付規程のどちらにも合います。
- 新事業進出補助金:原則として相見積を取り、最も安い見積を出した会社を選びます。販売元が限られる場合など、合理的な理由で取れないときは事務局へ連絡します(補助事業の手引き p.27)。交付規程では、相見積を取れない場合や最も安い会社を選ばない場合は、理由書と、価格が妥当だと示す書類を備えることとされています(第13条)。交付申請ガイドは、50万円(税抜き)以上なら「必ず3者以上」の見積書を出すよう求めています。2社しか集まらないなど、社数が足りないだけのときの例外は、公式資料には書かれていません。3者そろいそうにないときは、早めに事務局へ相談しましょう。ペーパーカンパニーや販売実績が全くない業者、計画を確認した認定経営革新等支援機関・金融機関などからの相見積は認められません。見積依頼書より前の日付の見積書も認められず、見積依頼書と見積書の仕様は一致している必要があります(交付申請ガイド)。
- ものづくり補助金:見積依頼書(参考様式3)、または仕様が分かる書面を示して見積を取ります。単価50万円(税抜き)以上の物は、原則として書面に書いた同じ条件で2社以上から相見積を取り、合理的な理由で取れない場合は「業者選定理由書」を出します(補助事業の手引き p.15)。公募要領では、申請の準備の段階で複数の会社から見積を取っておくと、採択後に円滑に始められるとしています(p.25)。最後の公募回(23次締切)の公募要領では、同じ代表者・役員がいる会社、資本関係のある会社、親族などが経営する会社を、相見積先にすることもできないとされています(p.31)。
参考までに、省力化投資補助金(一般型)は、発注先ごとの合計50万円(税抜き)以上で、原則として2者以上から取り、最も安い会社を選ぶ決まりです。その交付申請の手引きでは、相見積を取れない「合理的な理由」を、知的財産権や独占販売権などで販売元が限られていることが客観的に分かる理由としています。「かねてより付き合いがある」「アフターフォローが充実している」「近隣に契約先(発注先)が見つからない」などは、認められない例に挙がっています(p.14・p.15)。
見積の段階で:
- 見積依頼書は1通作り、宛先だけを変えて同じ内容で出す。仕様・範囲・締切がそろっていないと、同じ条件で比べたことになりません
- いくつ要るかを先に数える。新事業進出補助金は発注先ごとの合計で判断し、広告宣伝・販売促進費は金額が小さくても2者以上です。ものづくり補助金は、手引きでは1つの物の単価で判断しますが、交付規程は契約の金額で見ます。まとめて1社に発注して50万円以上になるなら、単価が50万円未満でも2社以上取っておきましょう
- 相見積先に、身内の会社(同じ代表者・役員や資本関係のある会社など)や、計画づくりを支援した機関・金融機関が入っていないか確かめる
- 届いた見積書の日付が、見積依頼書の日付より前になっていないか確かめる
- 最も安い会社以外を選ぶときや、相見積が取れないときは、理由を書面で説明できるようにしておく。取れない理由として手引きに挙がるのは、特許などの権利や独占販売で販売元が限られる場合などです(「付き合いがある」「近くに業者がいない」は、省力化投資補助金では認められない例です)
⑤ 特注品・付属品:何か・なぜその数かを説明できるように
この事例では:B社の急速冷凍機の見積書には、本体とは別の行に「特注カート」と「特注カート仕様」(数量は複数)がありました。1回目の差し戻しでは、見積の補足資料として、①特注カート仕様が何を指すのか、②カートが複数あるのは予備品ではないのか、③二次側工事(建物側の電源や給排水と本体をつなぐ工事)の中身を、PDFで出すよう求められました。工事の中身によって、対象外かどうかを判断するとのことでした。
B社が出した補足説明書は1ページで、次の順に書いています。
- 表題:どの見積書の補足かが分かるように、見積書の件名をそのまま入れる
- 特注カートとは何か:食材を載せたトレイごと本体に差し込む専用の台車で、一般の台車や棚では規格が合わない
- なぜ複数か:カートを冷却に入れている間に、別のカートで次の食材を準備する。複数ないと工程が止まるため、予備品や将来用ではない
- 二次側工事の中身:専用の電源工事、給排水管の接続、排熱用のダクトの接続。設備を動かすのに欠かせない工事であること
- まとめ:どちらも本体を動かすための最低限の構成であること
それでも、2回目の差し戻しで、特注カートも二次側工事も補助対象外とされました。説明を求められたら出す必要がありますが、説明すれば認められるとは限りません。外れた行の扱いは、対象外になった経費の記事で詳しく紹介しています。
公式の決まりでは:特注の機械装置・工具器具・加工品は、設計図や回路図などの仕様書(図面など)を整えておくよう求められています(ものづくり補助金:補助事業の手引き p.15/新事業進出補助金:補助事業の手引き p.75・p.87)。予備品の購入費用は、どちらの補助金でも対象外です(ものづくり補助金:補助事業の手引き p.16/新事業進出補助金:補助事業の手引き p.75)。新事業進出補助金では、交付申請の追加資料として、価格の妥当性を示すパンフレットや仕様書、建物なら設計図書などを出します(補助事業の手引き p.30)。A社も、建物の設計図書を見積書と一緒に出しました。
見積の段階で:本体と別の行の特注品や付属品、とくに同じ物が複数ある行は、受け取った時点で「何か」「なぜ要るか」「なぜその数か」「本体とどう一緒に使うか」を短く書けるか確かめましょう。図面や仕様書、カタログも先に販売店からもらっておくと、すぐ出せます。そのうえで、対象外になっても資金計画が崩れないよう、余裕を持っておきましょう。
⑥ 一式と諸経費:中身が分かる行にしてもらう
この事例では:A社の工事の見積書は50ページ近くあり、経費明細表には300行近くを1行ずつ書き写しました。「1 式」と書かれた行も多くありましたが、それだけで外されたわけではありません。たとえば防災工事の章では、「機器取付工費」「調整試験費」「消防手続立会費」「交通費」といった「1 式」の行は、補助の対象のまま残りました。一方、同じ章の「諸経費 1 式」の行は、事務局から「この記載ですと」対象として認められないと指摘され、外しています。B社でも、「試運転調整費・現場諸経費」と1行にまとめられた行について内訳を求められ、現場諸経費は消すよう指示を受けました。
公式の決まりでは:
- 新事業進出補助金:「○○工事一式」のような書き方では価格の妥当性を確認できないため、対象経費の詳細を書くこととされています。内訳の詳細が確認できない場合に対象外となる項目の例として、諸経費・会社経費・雑費が挙がっています(交付申請ガイド)。補助事業の手引きでも、諸経費など詳細が不明な経費は対象外です(p.75)。公募要領には、一般管理費・現場管理費も例に挙がっています。
- ものづくり補助金:見積金額に複数の項目が含まれる場合は内訳を示すこととされ、「〇〇一式」だけの書き方は認められていません(補助事業の手引き p.4・p.16)。
見積の段階で:見積依頼書に「行ごとに中身が分かる名前を付け、数量と単価を書く(『○○工事一式』とまとめない)」「諸経費は独立した行にする」と書いておきましょう。対象になりうる費用と諸経費が1行にまとまっていると、その行ごと内訳を求められます。どの行が対象外になりやすいかは、対象外になった経費の記事で1行ずつ紹介しています。
見積書を整える進め方
- 計画書を書くとき:設備の正式な名前(メーカー名・機械名・型番)と、実施場所の住所・事業所名を決める
- 見積を頼むとき:見積依頼書を1通作り、宛名・受渡場所・仕様・行の分け方・有効期限の希望を書いて、同じ内容で出す
- 受け取ったとき:下のチェックリストで確かめ、直してほしい点は交付申請の前に頼む
- 交付申請のとき:経費明細表と計画書の名前・数量・金額を、見積書に合わせる
- 差し戻しが続くとき・発注の前:有効期限をもう一度確かめる。ものづくり補助金で切れそうなら、早めに取り直しを頼む
チェックリスト:見積書を受け取ったら確かめる10項目
- 表題・発行日:「見積書」と分かる表題か。発行日が見積依頼書の日付より前になっていないか
- 宛名:申請した会社名と同じか
- 受渡場所・工事場所:計画書の実施場所(住所・事業所名)と同じか。本店のままになっていないか
- 有効期限:空欄でないか。交付申請の時点で有効か。ものづくり補助金は、差し戻しが続いても、発注の時点まで足りるか
- メーカー名・型番:件名か品名に入っているか。経費明細表・計画書と同じ名前か
- 数量・単価・内訳:「一式」だけの行がないか。個数がある物は、数量(1台など)と単価が書かれているか
- 諸経費:独立した行になっているか。ほかの費用と1行にまとめられていないか
- 税抜・税込:両方の金額が書かれ、内訳と合計が合っているか
- 相見積:同じ見積依頼書で、必要な数がそろっているか(新事業進出補助金と、これから申請する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は3者以上。ものづくり補助金で採択済みなら2社以上)。相見積先に、身内の会社や、計画づくりを支援した機関・金融機関が入っていないか。最も安い会社以外を選ぶなら、理由を説明できるか
- 特注品・付属品:何か・なぜその数かを説明できるか。図面・仕様書・カタログがあるか
まとめ
- 交付申請の差し戻しには、経費の中身だけでなく、受渡場所・名前・有効期限・相見積の数といった、見積書の書き方の指摘も多く含まれます。
- 設備の名前は「メーカー名+機械名+型番」で1つに決め、見積書・経費明細表・計画書、その後の注文書・請求書まで同じ書き方で通しましょう。
- 有効期限は、空欄と期限切れの両方に注意します。ものづくり補助金は発注の時点でも有効な見積書が要るので、交付決定まで数か月かかることを見込んで、長めの期限で出してもらいましょう。新事業進出補助金は、初回の交付申請の時点で有効なら、交付決定の前に切れても、見積書の金額を上限に交付決定されます。
- 相見積の基準と数は補助金ごとに違います(ものづくり補助金で採択済みなら2社以上、新事業進出補助金と、これから申請する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は3者以上)。同じ見積依頼書で必要な数をそろえ、特注品は説明と図面を用意したうえで、対象外になっても困らない資金計画にしておきましょう。